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小さな映画館 第150幕

「ダンケルク」

「奇跡の2000マイル」

「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

「ソウ2」

「ザ・バッド」

 

「ダンケルク」

フィン・ホワイトヘッド トム・グリン=カーニー ジャック・ロウデン ハリー・スタイルズ主演 クリストファー・ノーラン監督

 

【あらすじ】

第二次世界大戦初期の1940年。イギリス、ベルギー、フランス、カナダからなる連合軍将兵は、フランスのダンケルク海岸でドイツ軍に包囲され、ダイナモ作戦により撤退を余儀なくされた。

 

【感想】

ノーラン監督といえば、現代における最も影響力のある映画監督のひとりです。作品が発表されるたびに今度は一体どんな作品なんだろう、と世界中のファンが胸を躍らせています。

そんな中新作として登場したのがこの「ダンケルク」です。

日本だとあまり馴染みがありませんが、これはイギリスと他の同盟国とドイツの戦争の模様を映画にしたもので、しかもある意味で負け戦を主題とした映画です。

そう、この映画でドイツ軍が出てくるのはほんのわずかで、あとはどうやってイギリスまで撤退できるか、というのがストーリーのメインになっています。

 

派手な戦争、というよりも、地味ながら、しかし死の音が近づいてくるような銃声や砲撃の音に臨場感があり、他の戦争映画とは一線を画すものになっています。

とてもリアリティがあるんです。

例え誇り高い軍人でも、自分たちが危機的状況に陥れば、自分の命を優先していく。そうした人間のまざまざしいエゴイズムもあれば、ボルトンのように命をかけて他の兵士たちを先にいかせる軍人もいました。

 

この映画の評価すべき点は、兵士たちにほとんど名前のないことです。主人公らしい登場人物はいても、彼らが英雄的な行動をするかといえばそうではありません。

そう、軍人となり、戦争に駆り出されれば、主人公などではなく、兵士のひとりに過ぎないのです。

 

ボルトンが海に並ぶイギリス船をみて、「故国だ」と呟いたシーンは感動してしまいました。

彼は必ず国が迎えに来てくれると信じてきたわけですから。

ただ全体的に劇的なドラマ性はありません。当然戦争の体験ですから、アメリカならとんでもない逆転劇をみせたかもしれませんけど(笑)

 

第二次世界大戦の頃、我々日本人はドイツ、イタリアと並んで枢軸国だったわけですから、なんとも奇妙な気持ちにはなりますが、戦争の悲劇というのは勝った国だろうが、敗戦国だろうが関係ありません。

命をかけ、国を護ることがどれだけの犠牲をうむのか。

最後にチャーチルの言葉でしめられましたね。

「We shall never surrender」と。

だけどこのチャーチルも顔は出ていません。ただ新聞にその言葉が載っただけです。

チャーチルもまた偉大ではあっても、現場の悲惨さを実のところ理解できてないのでは、と思ってしまいます。

リーダーというのは戦況だけで考えて、現地の詳しい事情はあまりわからないと思うので。

 

「奇跡の2000マイル」

ミア・ワシコウスカ アダム・ドライバー主演 ジョン・カラン監督

 

【あらすじ】

1977年、ロビンは一匹の犬と4頭のラクダとともに、アリススプリングスからインド洋へかけて、オーストラリアを縦断する。資金難なロビンを救ったのは、ナショナルジオグラフィック協会のリックであった。

 

【感想】

オーストラリアってすごく国土の大きな国なんですけど、実際人口は日本の五分の一なんです。そして国土の2割が名前のある砂漠だと言われています。

 

オーストラリアという国は今でも日本の留学先として人気がありますよね。寛容で、日本人に対しても朗らかに接してくれるイメージが強いです。

しかしオーストラリアも最初は白人国家ではありませんでした。当然のことながら先住民がいたんです。

今でこそ寛容なオーストラリアですが、この映画で描かれる時代は先住民に対する差別がありました。

そんな中でも先住民の人たちは自分たちのアイデンティティー、そして伝統をずっと繋いできたんです。

 

ロビンは母という、女性にとって象徴的な存在を自殺というかたちで失いました。

それが影響してかはわかりませんが、ロビンは”自分”というものが確立できていなかったんだと思います。

心のどこかが空っぽな感じがして、何をしたらいいのかがわからない。

だからこそ旅に出たんだと思います。

 

カメラマンでかつ、旅の資金源となったリックは確かに自分の旅に干渉してきてうざい存在ではありますが、彼がいないことにはこの旅は成り立ちません。

そして行く先々でロビンを助けてくれたのは先住民の人たちでした。

同じ白人でも、8か月働けばラクダをくれると言った人は裏切ったりしましたからね。

だけど先住民の人たちはロビンが白人であっても、助ける思いやりを持っていました。

それでいて自分たちのアイデンティティーを大切にしている。

 

広大な砂漠で愛犬を失ったとき、初めてロビンはひとりである不安や寂しさを感じました。

そこで先住民たちの共同体や、リックという人との関係を思い出すんですね。

人はひとりでは生きていくことができないんです。

だからこそ助け合って、支え合って、初めて自分がいるんです。自分の存在の証明でもあります。

 

余談ですけど1マイルは日本で言う1,609キロメートルです。

彼女はこの旅で2700キロを歩いたそうで。

これは並大抵の人ができることではありませんよね。

 

「マネー・ショート 華麗なる大逆転」

クリスチャン・ベール ブラッド・ピット ライアン・コズリング スティーヴ・カレル主演 アダム・マッケイ監督

 

【あらすじ】

2004年から2006年にかけて、アメリカの住宅価格が上昇し、住宅ローンの債権が高利回りの金融商品として脚光を浴びていた。多くの投資家たちが金融商品を買いあさるなか、いち早くバブル崩壊の兆しを読み取った投資家たちがいた。

 

【感想】

この映画は基本的に投資に関する話なので、僕もうまく説明できるかわかりません。

リーマン・ショックは日本でも連日ニュースになったので、聞いたことがある人も多いと思います。

でも日本人からするとピンときませんよね。

当時高校生だった自分もリーマン・ショックがなんでこんなにニュースになるのか理解できていませんでした。

 

ひとつはサブプライム・ローンという、日本にはない制度があったからです。

普通お金を貸す側の人間にとって、収入が不安定な、もしくは低所得の人にお金を貸すことってリスクがありますよね。もしかしたら払えなくなるかもしれない。

だけどこのサブプライム・ローンでは、あえて高金利で貸すわけです。そうすることで例えAさんが支払いができなくなったとしても、他から返済の金利でカバーできるからです。

もし支払いができなくなれば、家を担保にしているので、その土地を出て行けばいいだけなんです。

もちろんサブプライム・ローン側にもリスクがあります。

だからこそ証券化という債権として全世界の投資家に売り出しました。

ただサブプライム・ローンだけでなく、他のリスクのないような債権もいっしょに売り出したんです。

そうすることで、リスクを分散して、投資家たちが安心して買えるようにしました。

 

当時のアメリカは住宅バブルで、家々はどんどん値上がりしていったため、信用度は増すばかりでした。

そうバブルや好景気、そして株価というのは信用があって初めて上昇します。

しかしそこにバブル崩壊を予知した人たちがいました。

それがこの映画の主人公たちです。

 

周囲は住宅バブルで舞い上がってますから、住宅バブルがはじけると主人公たちが言っても、聞く耳を持ちません。

結局バブルは崩壊し、失業者は続出。

しかし主人公たちは相対的に儲かりました。当然のことながら喜ばしいことのようにも思えますが、彼らが投資したのは、いわゆる多くの人間が失業に陥るという状況なんです。そんな時に大儲けしたんですから、喜べる人とそうでない人はいますよね。

なかなか難しい映画なんですけど、そうした予備知識を持って観ると、なかなかよくできた映画です。

 

「ソウ2」

ドニー・ウォルバーグ ディナ・メイヤー主演 ダーレン・リン・バウズマン監督

 

【あらすじ】

出口のない洋館に閉じ込められた8人の男女がジグソウのゲームに挑んでいた。

遅効性の毒ガスがゲームとともに発生し、2時間以内に解毒剤を見つけなければ死んでしまう。

一方刑事エリックはジグソウを逮捕するが、息子がそのゲームに参加させられていることを知り、ジグソウに居所を教えるよう要求するが…。

 

【感想】

前作の余波から、このシリーズは決して物語を額面通りに受け取ってはいけないという経験がいかされました(笑)

だからこそミステリーとして面白い映画です。

前作がまったく不条理な状況下において始まり今回も同様に不条理ではありますが、きちんとゲームの黒幕とその動機がありサスペンスとミステリー要素もあります。

前作のようなグロテスクな描写は基本的に少なく、仕掛けもそんなに大掛かりなものではありません。

しかし今回は「生」に対する問いかけが多くあります。

 

末期がんにおかされたジグソウは、汚職刑事のエリックに対して、他者の命を犠牲にしてまで息子を助けるか試しました。

エリックも大概なんですよね。

証拠をでっち上げて、無罪の人間を逮捕してるんですから。

そしてエリックは報復として、息子を人質にとられたんです。

 

終盤になって麻薬の売人ザヴィエルは自分のためだけに生きようと決心し、協力を拒みました。

そしてダニエルがエリックの子だとわかると、全員の憎悪が彼に向けられたんです。

人間というのが復讐に囚われるとどれだけ変貌するか。

そうした心理トリックもまたこの映画の魅力です。

 

最終的にはジグソウは死に、エリックも監禁され、アマンダがこのゲームを継いでいったところで終わりました。

 

「ザ・バッド」

クリストフォー・ウォーケン モーガン・フリーマン ウィリアム・H・メイシー主演 ピーター・ヒューイット監督

 

【あらすじ】

美術館の警備員として人生を捧げてきたロジャーとチャーリー。しかし新任の館長によって展示物が一新され、今まであったものはデンマークへと移されることになった。ロジャーとチャーリーは警備員のジョージを加えて、本物と贋作をすり替える作戦を立てる。

 

【感想】

ほっこりするコメディですけど、犯罪ですからね!

でもまあ美術に人生を捧げる男っていうのはどこにでもいるんでしょう。

ロジャーは初っ端からその度合がわかりますよね。案内人よりも詳しく、妄想でもテロリストに殺されても、この絵画を護るという意識があるわけですから。

そしてチャーリーとジョージも同じですね。ジョージはいろいろありますけど(笑)

とにかくことがうまくいきすぎなのは置いといても、ベテラン俳優たちが頑張っています。

なんというか、かつては本物さながらの強盗でもしそうな役者ぞろいなんですけど、年齢に相応しい演技をしているのが良かったですね。

結局ロジャーがあの絵を好きなのは、奥さんが好きだからというオチも綺麗でよかったです。

 

だけど、やってることは犯罪ですからね(笑)

author:トモヤムクン, category:-, 14:28
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小さな映画館 第149幕

「ゾンビランド」

「ドラゴン危機一発」

「はなちゃんのみそ汁」

「オフィス 檻の中の群狼」

「名探偵登場」

 

「ゾンビランド」

ウディ・ハレルソン ジェシー・アイゼンバーグ エマ・ストーンアビゲイル・ブレスリン主演 ルーベン・フライシャー監督

 

【あらすじ】

謎の新型ウィルスが蔓延し、アメリカの大半の人間が感染し、まさにゾンビランドの状態であった。

生き残りであるコロンバスは胃弱で、引きこもりで友達もいないネットゲームおたくの彼は、ゾンビランドで生き抜くための32のルールを自分でつくっていた。ある日ワイルドな男タラハシー、そしてプロの詐欺師姉妹と出会うことで…。

 

【感想】

面白い!ユーモアもあって、ゾンビ映画のセオリーもきちんとあって。そして一番の笑いどころはなんといってもビル・マーレイ本人出演で、なおかつ殺されるという(笑)

ゾンビ映画が怖い!という人でも観られるくらいユーモラスですよ。むしろ悪役のゾンビすら可愛くみえる(笑)

 

それにしてもジェシー・アイゼンバーグって、なんでああも”童貞っぽい”んでしょうね?(笑)

おたくっぽいし。

だからいい味出してるんだけど、対照的にセクシーなエマ・ストーンが彼に惚れる要素はあるのか(まあラストシーンで頑張ったしね)

 

とにかく彼らはゾンビの世界を受け入れ、その中で生き抜こうとしてるんです。

姉妹も結局生きるためにいろんな人を利用するわけですから。

だけど最終的にはみんな同じ思いを抱えていたからこそ、家族のようになった、という終わり方が良かったですね。

続編があれば、ゾンビになった理由とか語られるんだろうか?

この映画ではそういうのはどうでもいいような気もするけど。

 

「ドラゴン危機一発」

ブルース・リー主演 ロー・ウェイ監督

 

【あらすじ】

製氷工場をしながら麻薬を密売していたギャングの一味に、従兄弟たちを次々に殺されてしまったチェンは復讐を決意する。

 

【感想】

意外とブルース・リーの映画って観たことなかったんですよね。

どちらかといえばジャッキーばかり見てた気がします。

 

この映画はすごくシンプルな内容です。その分チェンの格闘シーンには力が入っています。

ただ「燃えよドラゴン」でみせるようなブルース・リーではなく、静かにメラメラと立ち向かう姿が見られます。

この映画からブルース・リーの闘いが始まったんですから、おさえとくにはいいですよ。

 

「はなちゃんのみそ汁」

広末涼子 滝藤賢一主演 阿久根知昭監督

 

【あらすじ】

新聞記者の信吾は、音大生の千恵と出会い、恋人同士になる。幸せな生活が続いた矢先、千恵は乳がんを宣告される。信吾は千恵を支えようと、結婚を決意する。そんな時千恵は妊娠を信吾に報告するが、子どもを産むとがんが再発するリスクがあると聞かせられる。それでも子どもを産む決意をした千恵は、長女はなを出産する。

 

【感想】

人間にとって絶対的に平等なのは、死です。不条理のようで自然のことで、だけどいつ死ぬかというのは人間が決められないという不幸がついてまわります。

だけど生きるというのは、誰かに自分のことを繋いでいくことでもあります。

 

この映画ではコミカルさが絶妙に絡み合い、乳がんと向き合う夫婦と周囲の優しさが胸にしみます。

がんに向き合い戦うのは、孤独なものです。いくら周囲の支えがあったとしても、結局痛みを感じ、恐怖を感じるのは自分なんですから。

だけど周囲の支えがあるからこそ、強く生きることもできます。

 

千恵は強さと弱さを兼ね備えた女性です。

がんを治すために自然治癒という療法にもすがりました。

だけど最終的に彼女は、娘はなに自分を伝えることで生きることにしました。

それがみそ汁です。

料理の基本ですね。

それぞれの家庭に、それぞれの親に、それぞれの味があります。

はなはお母さんのみそ汁の味を、いっしょに作った思い出を忘れることはないでしょう。それが母が生きた証なんです。

 

今回の映画はがん治療の重さよりも、どうやって周囲の人々とともに生きていくか、ということがこの映画で観られました。

僕も今日一日をしっかり生きたいと思います。

 


「オフィス 檻の中の群狼」

コ・アソン パク・ソンウン主演 ホン・ウォンチャン監督

 

【あらすじ】

ある日勤勉なキム課長は家族を惨殺した容疑で疑いをかけられていたが、逃走しているため居所がわからないでいた。警察は会社に聞き込みをするが、いい情報は得られずにいた。そんな中インターンで正社員になろうと努力する真面目なミレは、優しいキム課長を信頼していた。会社は業績がうまくいかず、苛立っており、社内の雰囲気もよくなかった。ある日社員のひとりが会社内で死体で見つかる。

 

【感想】

あー、会社に殺されるというのは全世界共通なのか、と。

元々日本人と韓国人の気質は似ていると言われています。だからこそ両国は自殺率が高いんです。

ストレス社会というものが、どれだけ人間を追い詰めるのか。

 

オフィスという狭い空間で、狭い人間関係。上司のご機嫌を窺い、誰かの足を引っ張り合う。その中で犠牲になる庶民がいる。

それがある意味では競争社会であり、資本社会の実態です。

 

ミレは田舎からソウルへ出てきた女性です。なんとか正社員になろうと一生懸命、真面目に仕事に取り組みます。

しかし新しくインターンでやってきた女性が入ってきました。ミレよりも美人で、秀才で、留学経験ありという、ある意味でミレとは対照的な女性です。

ミレはそうしたライバルにも圧倒されていってしまいます。

そして上司の八つ当たりもあり、どんどん精神的に追い込まれていくんです。

会社にとってはインターンは使い捨てのようなもので、これといって存在の価値は大きくありません。

そうしたすべてのことが重なり、ミレはとうとう課長から渡された包丁を持つ決意をしました。

 

殺されていく人々はみな課長の姿を見ました。

それは彼らには、課長を追い詰めたという無意識の罪悪感があったからでしょう。

結局課長は青酸カリを服用し、自殺していたことがわかりましたが、エレベーターが故障していたために腐敗するまで気づかれませんでした。

だからあとはすべてミレの犯行なんです。課長と同じく、生真面目な人間が怒り狂ってしまうと何をしでかすかわからない。

結局ミレに殺された者たちはすべて死んでしまったわけですから、犯人もでっちあげられてしまいました。

ミレは何かから解放されたような笑顔を浮かべていたのが印象的でしたね。

 

そして最後は彼女は新しい会社へとインターンとしていくのです。

これがまるで惨劇の続きがあるかのように。

 

個人的にはミステリー的なおもしろさを求めていたらガッカリするかもしれませんが、ストレス社会を描いた作品としては秀逸です。

 

「名探偵登場」

トルーマン・カポーティー ピーター・フォーク ピーター・セラーズ主演 ロバート・ムーア監督

 

【あらすじ】

ミステリーマニアで謎の大富豪トウェインは、世界中で活躍する探偵5人を招待し、自分のつくりあげた殺人のトリックを解かせることに。

 

【感想】

カポーティ自ら出演ということで観たんですけど、これがなかなかおもしろい。

日本で言えば三谷的なエンターテインメント作品です。

というか昨今のミステリーに対するダメ出し映画です(笑)

 

探偵たちはそれぞれ名探偵のオマージュになっていて、この屋敷のトウェインと関係のある人物ばかりになっています。

トリックの演出はそりゃベタベタで、名探偵ものだったら、あるあるの連続です。もちろんそれがトウェインの狙いですけども。

探偵たちは頭を悩ますも、いろいろといざこざがあったり。

そうした探偵たちの高慢な態度が、読者を飽きさせているとトウェインは投げかけます。

探偵ばかりがわかった風で、まったく読者にヒントを与えない。

これをカポーティが言うんですから、また(笑)

 

コメディタッチの作品なので、ミステリーがどうとかいうのは野暮ですが、最後はうまく女性が犯人だったという伏線を回収しましたね。

author:トモヤムクン, category:-, 16:40
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小さな映画館 第148幕

「サバイバルファミリー」

「手紙は憶えている」

「マネーモンスター」

「天国は、ほんとうにある」

「シャイアン」

 

「サバイバルファミリー」

小日向文世 深津絵里主演 矢口史靖監督

 

【あらすじ】

ある日突然電気、水道、ガスすべてが停止してしまった。

都会に住む鈴木一家は母の実家である鹿児島を目指して自転車をこぎ出す。しかしその道のりは過酷なものだった。

 

【感想】

ツッコミどころはたくさんあるものの、そこさえ目をつむれば、というよりコメディだと思えば本当に面白い作品です。

 

現代ってすごく便利ですよね。スマホひとつあれば、ある程度のことはできちゃうし、蛇口をひねれば水は出てくるし。

だけどもしもそうした、現代の文明が失われたどうなるのか、というこの映画の主題が面白いです。

子どもたちはスマホやパソコンで人とつながっていて、それがないと疎外されてしまうような環境にいました。

会社もおなじです。

そこからすべてを奪われた時、残るのはなんでしょうか?

まずは家族なんです。

 

原因不明の大停電が起きてしまったことで、今までの常識が覆されてしまいます。

まず人の足元を見たようにペットボトルの水が高騰します。そして食料もです。

最初こそ現金で払えましたが、徐々に物々交換でないと手に入れられなくなりました。

 

自転車をこいでいく鈴木家は、対照的にサバイバル生活を楽しむ一家と出会います。ここも対比ですよね。頼りになる家族と、そうした状況に悪戦苦闘する鈴木家。

そして父親の不甲斐なさが協調されてしまいました。

 

岡山のあたりで昔ながらの生活をしているおじさんに助けられます。井戸水があり、家畜もいて、もともと自給自足の生活をしているから、大して困っているわけではありません。ここが都会の人との対比です。豚の世話を手伝えば、いてくれてもいい、と言ってくれたおじさんですが、鈴木家は甘えるわけにもいかないとして、鹿児島へ向かいます。

その途中で父親がようやく父親らしく家族のために行動をしました。しかしその矢先で父がおぼれてしまい、家族は死んでしまったとショックを受けるわけです。

あれだけ家族に馬鹿にされていた父ですけど、失って初めてその大切さがわかるんですね。

 

最後は蒸気機関車で鹿児島へ着くわけです。

 

文明が失われた中で、どのように生きていくか、家族は団結できるのか、というテーマはとても面白いです。

コメディとして観るには本当にいい作品です。

もちろんツッコミどころはあるんですよ。

海外からの支援がまったくなかったり、あまりにも性善説に基づいた治安だったり。

だけど現地にこだわった演出なんかは本当にみどころです。

 

「手紙は憶えている」

クリストファー・プラマー ブルーノ・ガンツ主演 アトム・エゴヤン監督

 

【あらすじ】

90歳のゼヴは介護施設で暮らしており、認知症が発症したために、妻の死でさえ忘れてしまう。

ある日ゼヴは友人のマックスから一通の手紙を託される。2人はかつてアウシュビッツ収容所の生還者であり、ナチスに大事な家族を殺されていた。その手紙には家族を殺した者の手がかりがあった。

 

【感想】

正直、「認知症」「ホロコースト」「ナチス」「ユダヤ人」というワードが初っ端から出ていたので、結構どういう展開になるかはわかっていました。

意外性はあんまりなかったんですけど、なんというかナチスの悲劇が続いている、という意味では悲しい映画ではありましたね。

 

ナチスは優生学の思想を持ち、ユダヤ人を迫害してきたのは有名な話です。ドイツだけでなく、ヨーロッパな様々なくにからユダヤ人を集め、強制収容所に入れ、虐殺をしてきました。

結局ナチスは連合国に攻められ、ヒトラー及び部下たちの自殺によって、ナチス・ドイツは陥落したわけです。

その後もナチスの兵士たちは裁判にかけられたりしたんです。

 

主人公のゼヴもまた、ホロコーストにかかわったことから逃げるために、友人とともにユダヤ人のふりをして逃げました。

その後本当の姿を偽り、幸せな家庭を築いたんです。

しかし家族を殺されているマックスはそうではありません。

ゼヴがかつて家族を殺したオットーだと知りながら、近づいたのです。ただこれって偶然なのか、自ら彼を捜して入所したのかはわかりませんが。

そこでもって認知症が入っているわけですから、騙すには容易かったでしょう。

ただひとつ突っ込めば、認知症の人があそこまで実行できるとは思えないんです。きっとどこかで支障をきたすと思うんですけど、まあ映画ですからね。

結局は自分の過去を認知症とともに無意識下に潜ましていたゼヴは自殺して終わりました。

 

なんとも悲しい物語で、誰にも救いがありません。マックスにも、ゼヴの家族たちにも。

そして殺された警官もです。

 

まあ演出としてはうまいな、と思う部分もありました。

銃の扱いに慣れていること、ワーグナーを弾いていたこと(ヒトラーはワーグナー好きで有名)。

90分越でちょうどいい尺の映画だと思います。

 

「マネーモンスター」

ジョージ・クルーニー ジュリア・ロバーツ主演 ジョディ・フォスター監督

 

【あらすじ】

人気番組「マネーモンスター」の司会者リー・ゲイツ。ある日番組で紹介したアイビス社の株が暴落し、男が番組に乱入し、ゲイツを人質にとる。

 

【感想】

最初はテレビドラマのように陳腐なものかな、と思っていたんですけど、これがどんどん面白くなっていく。

軽薄そうなゲイツが襲撃してきたカイルと徐々に意思の疎通を交わし、その上でアイビス社の疑惑を解決していく展開は本当に素晴らしい。

アメリカの貧困層が搾取され、上位数パーセントの富裕層が潤うというのは、どこの国でも変わらないんですね。

しかも他国を利用してまで儲けようとするんですから。

だからこそカイルの悲劇というのは、彼自身だけでなく、社会的な背景が原因です。

そんな日常が当たり前のように起こりながらも、カイルのような惨劇を繰り返したくないからこそ、人々は事件が終息すると何事もなかったかのように日常へ戻っていきました。

ゲイツはこれでいろいろ考えたことでしょうね。自分がやっていることが、実はあるひとりの人生を狂わせているかもしれない、と。

 

「天国は、ほんとうにある」

グレッグ・キニア ケリー・ライリー主演 ランドール・ウォレス監督

 

【あらすじ】

ネブラスカ州の小さな町で牧師をしているトッドは、経済的に苦しいながらも家族と幸せに暮らしていた。

ある日息子のコルトンが急性中耳炎を患い、生死をさまよう。無事に手術を終えたコルトンは、天国をみたと言い始める。

 

【感想】

信仰というのは形式なのか、それとも狂信か。

どの宗教にも繋がるのは、生と死を扱うことです。

 

牧師であるトッドは信仰心を説きながらも、当初息子の話を信じませんでした。それどころか、息子が生死の境にいるとき、神を罵ってしまったくらいです。

牧師と言いながらも、人間というのはどこか、なにかにすがっていかないと生きていけないのかもしれません。

しかしその不条理の中に、コルトンは天国やイエスの姿を見たと証言します。

これには信者たちでさえ、疑問を呈するようになるんです。

逆に狂信者たちはコルトンを神の使いのように祭り上げようとします。

 

そう、みんな神という存在、そして天国という存在に心の底では懐疑的なんです。

「きっと救われる」という言葉は自分たちを安心させるための暗示でもあります。

天国という終着点がなければ、人間は安心して死ぬということができないんです。

だから信仰というのはどこにでもあります。

正直なところ天国があるかどうか、それは科学的にも実証できないでしょうし、宗教の側からないとも言えないでしょう。

だけど信じることで、意識は確かです。

宗教の功罪は数ありますけど、死を考えることは同時に生を考えることと同義です。

そういう意味では人々が信仰によって、愛によってつながるというのはいいことなのかもしれません。

 

この映画は正直人を選びます。

無神論者、無宗教の人は否定的だろうし、僕もあまり見入るタイプの映画ではありませんでした。

事実に基づいた話ではあっても、コルトンが置かれている環境から、父親の影響で信仰心があることで、天国を見た、イエスを見た、と記憶がつくられた可能性だってあります。

ただキリスト教徒として、天国をどうとらえるか、信仰心をどう持つか、という意味で観るのなら、悪くない映画ですし、何よりも信じるという心、意識をもつというのは大事です。

 

「シャイアン」

リチャード・ウィドマーク キャロル・ベイカー ジェームズ・スチュワート主演 ジョン・フォード監督

 

【あらすじ】

1878年、政府の政策によりインディアンたちはみな居留地へと強制的に移動させられた。

シャイアン族も強制的に移住させられたが、飢えと病により次々と死者がでた。シャイアン族は故郷イエローストーンに戻ろうとするが、政府は討伐軍を派遣する。

討伐軍の将校アーチャー大尉はシャイアン族に同情的ながらも、任務を遂行しなければならなかった。

 

【感想】

故郷を追われる気持ちというのは、その人たちの身になってみないとわからないものでしょう。

この映画は史実に基づいて描かれている映画です。

 

ただ冗長な部分が散見されました。

この場面は本当にいるんだろうか?とか。アーチャーの登場部分もそうですね。

本当に淡々と描かれた映画です。

まあそれが却ってドラマ性をうまず、真の歴史の暗部に光を照らしたと思えばいいのですけど。

 

シャイアン族の故郷を想う心と、アーチャー大尉の任務と人間性の間で揺れ動く姿は見ものです。

あとは広大なロケでとられているので、そこらへんも見どころですよ。

 

やっぱりインディアンという、先住民の歴史や南北戦争のことを知っておかないと、少し退屈かもしれません。

author:トモヤムクン, category:-, 13:03
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小さな映画館 第147幕

「ストーンウォール」

「ドランク・モンキー 酔拳」

「男たちの挽歌供

「黒く濁る村」

「宇宙大怪獣ドゴラ」

 

「ストーンウォール」

ジェレミー・アーヴァイン主演 ローランド・エメリッヒ監督

 

【あらすじ】

ダニーは保守的な地域で育つも、同性愛者というかばれてしまい、故郷をあとにする。ニューヨークへやってきた彼は、グリニッジ・ヴィレッジで同じ同性愛者と親しくなる。しかしそこでは警察による不当な暴行が日常茶飯事だった。

 

【感想】

今の日本で同性愛者って、昔ほどの偏見はありませんよね。テレビ番組でも同性愛を公言しているタレントさんもよくで出演していますし。

ただ地域ごと、一人ひとりの間では、まだまだ同性愛に対する認識というのは差別的ではないかと思われます。

 

アメリカという国は現在LGBTの人たちが公の場でいろいろなことを語ることができたりとおおらかな印象がありますが、少し前までは黒人に人権がなく、同性愛者も迫害されていたような国でした。

同性愛というのは実は古くからあるんです。ギリシャなんかでもそうですし、日本でも戦国時代の武士たちの間で同性愛があることは有名でした。

しかしキリスト教が根深い地域では同性愛というのが禁じられています。もちろん現在では寛容な部分もあるんですけど、やはり保守的な人たちの間では同性愛はタブーです。

 

しかし同性愛というのは決して体の異常ではありません。動物的欠陥でもないんです。

動物にとって性行動が生殖行為なのに対して、人間は人とのつながりと快感を得るためのひとつの手段として行います。

 

本作の主人公ダニーは保守的な町で育ちました。だからこそ同性愛というのは禁じられた行為となり、より彼を悩ませたんです。

一方ニューヨークはどうかというと、LGBTの人々が公に堂々と歩いてはいるものの、警察などからは不当な扱いを受けてきました。

だけど作品の中の人たちはたくましく戦い続けているんです。

しかし同時に傷ついてもいました。

迫害されてきた彼らにとって自分たちの居場所であり、コミュニティなんです。

 

レイは12歳の頃から売春をはじめ、それが当たり前の環境にいました。だけどダニーに対して素直になれなくなったりと、性的なものではなく、飢えた愛を潤したい感情にとらわれます。

そうなんです、同性愛者のひとたちは人に理解されないからこそ、誰かの愛に飢えてるんです。

 

最後は同性愛者の人権を訴えるために、平和的な手段ではなく、暴動のようなかたちで抵抗しました。果たして暴動がいいのか?とモラルの面で疑問に思うかもしれませんけど、時には刺激的な手段を用いないと変わらないことはあります。

この「ストーンウォールの反乱」以降、いろいろとLGBTに対する運動に変化がありました。

だけども未だに77か国で同性愛が犯罪というのは哀しくもあり、同時にまだ希望があるとも感じます。

 

余談ですけど、ダニーというのは架空の人物です。他の人物は実在するんですけど、実はこの主人公をめぐってひと騒動起きてるんです。

というのも「ストーンウォールの反乱」の中心となっていたのは、黒人のマーシャ・P・ジョンソンとプエルトリコ系のシルビア・リベラという人たちらしいんです。

それをエメリッヒ監督は白人の青年を主人公にしてしまったために、また別の騒動があったようで(苦笑)

でもこの映画は一見の価値はあります。

 

「ドランク・モンキー 酔拳」

ジャッキー・チェン主演 ユエン・ウーピン監督

 

【あらすじ】

正義感はあるが、悪友と怠惰な日々を過ごしていたフェイフォンはある日、悪行を働いた男を打倒し、恨みを持った男が嘘言って父親の怒りを買って勘当されてしまう。そして酔拳の名手であるスー・フアチーのもとに弟子入りすることに。しかしフェイフォンの性根は治らなかったが…。

 

【感想】

この映画はジャッキーの筋肉にも注目してみてください。序盤と終盤ではまったく違います。

 

恐らくこの映画をきっかけにジャッキーにはまり、香港映画を観るようになった人も多いんじゃないでしょうか。

僕が幼い頃は、とにかくジャッキーの映画はテレビでよく放映されていたんです。

よく真似たもんですよ。

特にこの酔拳。酔っぱらう意味がわからないくせにね(笑)

 

酔拳はとてもコミカルで、キャラクターや戦闘シーンが本当にわかりやすくできています。

だから魅力的なんですよね。

 

フェイフォンは腕は立つものの、あまり真面目でないことから、自分の才能に溺れてしまったタイプの人間です。

だからこそフィジカルだけでなく、メンタルの面も師匠によって鍛えられました。

最後はわかりやすく悪役で腕のいい男と闘うわけです。

 

ただね、大人になってわかるんですよ。

酔拳って、肝臓を壊すから絶対に長生きできないわ、って(笑)

街中で、特に夜中に酔拳使いはよく見かけますが、自ら倒れている人が多いですねー。

みなさん、きをつけましょう。

 

「男たちの挽歌供

チョウ・ユンファ ティ・ロン ディーン・セキ主演 ジョン・ウー監督

 

【あらすじ】

出所したホーは、、偽札製造組織のロンに接近するが、彼は裏切りにあい終われる立場となってしまう。一方のキットも組織追うために潜入するが、ホーは弟のために再び立ち上がる。

 

【感想】

なんというかジョン・ウー監督なりの男の美学を感じます。日本にもある美しく散る美学のようなものが。

今回は善悪がはっきりと対立していました。

当然ヤクザな商売が善というわけではありませんけど、極道にもあるようにそこに仁義があるかどうかですね。

 

 

今回はキットとホーの関係も少しずつ改善しており、ホーの師匠でもあり善の師匠でもあるロンという存在、そして兄貴よりもちょっとお気楽なケンという魅力的なキャラクターが登場しました。

このロンという人、本当にかっこいいんですよ。序盤は娘を殺されて廃人になっちゃうんですけど、後々に復讐のためにたちあがって、コーを撃ち殺した後の悪が勝つともかぎらないといったセリフが本当にいい。

そしてケン。マークとのキャラクターが差別化されていてよかったですね。おちゃらけてて、戦闘シーンでも少しコミカル。だけど撃ち合いの時の緊迫感はすさまじいものがありました。

 

さあそして悲しかったのはキットの死でしょう。それも子どもが生まれた瞬間に死ぬんですから。

電話のシーンは号泣ものですよ。

 

ラストシーンもすごかったですね。とにかく部下たちは次々やられていく(笑)

だけど終盤になると少しずつ主人公たちに当たっていくのは、まあ仕方ない。

でもホー、ロン、ケンが重傷を負いながら椅子に座っているシーンは、まさに任侠の美学という感じでかっこよかったです。

 

「黒く濁る村」

パク・ヘイル チョン・ジェヨン主演 カン・ウソク監督

 

【あらすじ】

ヘグクは疎遠だった父親の死を知り、葬儀のために村へやってくる。しかし村人はヘグクを歓迎する様子はなく、むしろ村から追い出そうとしていた。その態度に父親の死に疑問を抱いたヘグクは、父の死の真相を知るために村に留まることに。しかし彼をよく思わない村人は…。

 

【感想】

雰囲気はすごく良かったんですけど、案外真相がストレートで肩透かしはくらいました。

というかもう少しストーリーに捻りが欲しかった。

 

そもそも父親の死を知らせた女の言葉を素直に受け取ったのか、という最初の疑問から出発するわけです。

母親もちょっとくらいは知ってるだろうに。

 

父はいわゆる現実離れした、ドリーマーのような信仰者だったわけです。だから敬虔な信者(若干カルト)が大勢いたわけです。

そのドリーマーなヘグクとは違って、村長であり元刑事のヨンドクはあくどくも現実的な乖離があって、対立していたことが終盤にわかってきます。

そして教会での集団自殺or集団殺人は結局何が真実なのかわからないままで、ここがモヤモヤするんです。

結局ヨンジの作り話である可能性もあるわけですから。

この話は結局ヨンジというひとりの女がすべてを掌握しようとした、という映画なんですけど、それまでが稚拙。

 

そんで警察が村長を追っていたのは、別にヘグクの父のためでもなんでもなく、単に収賄事件で捕まえたかっただけ。だから父の真実を知りたいヘグクと隔たりがあるんですよね。

もうちょっと短く簡潔に、そしてストーリーをまとめていれば面白くなったと思います。

少し残念な映画。

 

「宇宙大怪獣ドゴラ」

 本多猪四郎監督

 

【あらすじ】

日本上空を周回中のテレビ中継衛星が突如消失してしまう。それと並行して世界各国の宝石店からダイヤモンドが次々と盗難に遭っていた。

警視庁外事課の駒井刑事は謎の外国人マークを追う過程で、ダイヤモンド研究をしている宗方教授と出会う。

 

【感想】

うーん、ドゴラはどこら?

とりあえず炭素の欲しい大怪獣と宝石泥棒と、デイヴ・スペクターと刑事の追っかけっこです。

おもしろいか、と言われれば微妙。

コミカルな部分もあって娯楽的楽しめる面もあるけど、始終冗長な感じが(映画自体は短いけども)

author:トモヤムクン, category:-, 14:42
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小さな映画館 第146幕

「エイリアン2」

「シザーハンズ」

「フランシス・ハ」

「馬上の二人」

「バンクーバーの朝日」

 

「エイリアン2」

シガニー・ウィーヴァー マイケル・ビーン主演 ジェームズ・キャメロン監督

 

【あらすじ】

ノストロモ号の惨劇の唯一の生存者であるエレン。彼女が目覚めるとそこは57年後の世界だった。ノストロモ号爆破の責任をエレンに求めるウェイランド・ユタニ社。エレンは必死にエイリアンの存在を主張するが、軽くあしらわれるだけだった。

ある日LV−426から通信が絶え、入植民157人が消息不明となった。海兵隊とともにエレンはその地へ向かう。

 

【感想】

今回のエイリアンのテーマをはっきりいえば「母性」でしょう。

エレンは57年という歳月の流れで娘を失い、そして親を失ったニュートに対して娘の面影を追ったのか、母性を発揮します。

そしてエイリアンも同じです。ラスボスの巨大なエイリアンはエリアンたちの母であり、子どもたちを殺された恨みから、リプリーたちを襲ってくるわけです。

だから第2作というのはよくできた脚本だな、とは思います。終盤のツッコミどころを除けば(体半分、宇宙空間)。

 

リプリーは相変わらずすごいんですけど、決して身体能力が他の海兵隊に勝っているというわけではないんですよね。

どちらかといえば、かつての経験をしているからこそ勇敢である。

そしてもうひとりの女性がいましたね。

彼女もまた逞しく、仲間のために戦い、そして最後はかっこいい生き様を見せてくれました。

だからこの映画で顕著なのは女性なんです。

女性の強さがあらわされています。

 

とにかく今作は緊張感に満ち溢れ、狭いところでの対決や、追われる恐怖があって面白かったです。

だけど「3」で…。

 

「シザーハンズ」

ジョニー・デップ ウィノナ・ライダー主演 ティム・バートン監督

 

【あらすじ】

ある寒い冬の夜。「どうして雪は降るの?」と孫娘に訊かれた祖母は物語る。

昔々町はずれの山には発明家がいた。彼は一人の人造人間エドワードを創り出すが、発作を起こして亡くなってしまう。

ある日エドワードのいる屋敷に、ペグという化粧品セールスの女性がやってくる。両手がハサミであるエドワードに驚くものの、心優しい彼女はうちへ連れて帰る。そのうちエドワードはペグの娘キムに恋をするように…。

 

【感想】

切ないストーリーですよね。すごくシンプルなんですけど、ストレートに伝わってきます。

今やゴールデンコンビとなったジョニー・デップとティム・バートンの初タッグ作品です。

 

純粋無垢ながら両手が危険物という、ある意味でちぐはぐなエドワード。

少し悪い男と付き合っているけど、心優しいキムとの恋の物語です。

最初こそエドワードは人々に敬遠されますが、カットの技術に驚いた人々はころっと心情を変えて彼を受け入れます。

しかしあることに巻き込まれたことで、再び迫害に遭います。

これってよくあることです。

ひとつのコミュニティにやってきた、まったく違い人種との諍いというのもこうやって起きるんです。受け入れるのは難しいのに、拒絶するとなると簡単。

いろいろな人がいるんです。

ペグやキムのように心優しい人間もいれば、他の人のようにカルト的に迫害しようとする人もいれば、流されやすい人もいる。そういう人たちから、人間のコミュニティは成り立っています。

 

キムは最後まで彼をかばいました。

そして雪はなぜ降るのか、という質問に戻ります。

それは今でもエドワードが氷の彫刻をつくっているからだ、と老いたキムは言います。

じゃあなぜ会いに行かないのか。

あの頃の美しい自分でいたいからです。

それと同時にきっとどこかでエドワードに生きていてほしいという願いなんです。

雪の白さは、エドワードの心の清らかさですね。

 

「フランシス・ハ」

グレタ・ガーウィグ主演 ノア・バームバック監督

 

【あらすじ】

ニューヨークで親友といっしょに暮しているフランシスは、プロのダンサーを目指している。ある日親友のソフィーの婚約を機に、引っ越しを考えることに。

 

【感想】

すごくテンポが良くて、いい映画なんです、これが。

地に足がついてなくて、夢を追い続けながら、いろんな人たちと遊んだりしているフランシス。たしかにそういう生活って楽しいんですけど、どこかで必ず人生の壁にぶち当たるんです。

 

フランシスはソフィーとの暮らしがずっと続くと思っていました。だけどそれはソフィーが現実的な生活を送ることを決心したことで、変わっていきます。フランシスはいつものように暮らしながらも、どこかちぐはぐでうまくいかなくなっていきます。

ダンサーになれないという現実を突っぱねようとしたり、パリで友人に会おうと思ったら会えなかったり。

ソフィーが帰ってきて、いっしょにまた暮らそうという約束が実は酔った勢いで言ったことで、憶えていなかったり。

 

だけど終盤になってフランシスは自分で自分を顧みることができました。

ダンサーではなく、他のことで自分を生かせることを発見したり、地に着いた幸せを見つけました。

 

これは男性ではなく、もしかしたら女性が観たらもっと面白いのかもしれません。共感性とかね。

ちなみに「フランシス・ハ」の「HA」の部分は、最後に郵便受けの名前のところで、わざと残すんです。

そこがまた彼女らしさを残してるんですよね。

 

「馬上の二人」

ジェームズ・スチュワート リチャード・ウィドマーク主演 ジョン・フォード監督

 

【あらすじ】

1880年テキサス。保安官のガスリーの前に旧友のジム・ゲイリー中尉たちがやってくる。グラント砦では20年間、コマンチ族によって、何人もの開拓者の白人が襲撃や誘拐されていた。コマンチ族の酋長と交渉できるのはガスリーだけだと考えたジム。彼らはさらわれた白人たちを取り戻すため交渉をしに行くが…。

 

【感想】

開拓者と先住民との間の亀裂というのは、これは致し方ない部分があります。

先住民の怒りはもっともだし、開拓者もやられっぱなしではいたくない。

ただこの映画はイマイチそこら辺の主張はありません。

 

単にコマンチ族に染まってしまったら、白人であろうと環境に馴染めなくなる。そういう人たちの悲劇を描いているだけです。

だから根本的な解決がある映画ではありません。

悲劇をクローズアップされるわけでもなく、差別をクローズアップするわけでもない。

あと問題なのは主人公のひとりガスリーに魅力がないということ。ジムのほうがまだ魅力があった。だけどジムがなにか秀でた部分があるわけじゃない。

 

最後に誰でもいいから連れて戻ってきた少年が弟だった、という事実だけが、なんだか浮いている。

 

「バンクーバーの朝日」

妻夫木聡 亀梨和也 高畑充希主演 石井裕也監督

 

【あらすじ】

1900年代初頭、多くの日本人が新天地を求めてカナダへ移住した。しかし現実は過酷な労働生活だった。いわれのない差別を受けたりと、散々だったが、ある日日本人たちの野球チーム「バンクーバー朝日」が生まれる。しかし白人との体格差から、チームは勝てずにいた。

 

【感想】

この映画の功績は、「バンクーバー朝日」というチームを日本に知らしめたことだと思います。

 

当時日本はブラジルやいろいろなところに新天地を求めました。そこには楽園があると約束されていたからです。

しかし現実は違い、映画でもあるように低賃金で過酷な労働と差別があったようです。

今でこそカナダは他民族国家のようですが、当時はやはり白人主義というのが主流です。

割と黒人差別について聞くことは多くても、アジア人差別について聞く機会って少ないんじゃないかと思います。

特にアメリカでも第二次世界大戦の頃は、日本人及び日系人は迫害にあっていました。敵国ですから。

 

映画の中の日本人たちも、なんとかそうした環境に適合していこうとしますが、根底にあるのは民族意識なんですよね。迫害されるからこそ、より意識してしまう。

だけど白人とは体格差で勝つことができないから、不満の行き所がなくなるんです。

当然全員が全員悪い人たちばかりではないですよ。

きちんと日本人であっても、平等に接してくれる人たちも劇中にはいました。

だけど周囲がそれを許さない場合が多いんです。

 

この物語にはふたつの日本人がいます。

佐藤浩市が演じる元々日本に住んでいた日本人と、カナダで育ちながら、日本の土地を知らないカナダ人としての日系人です。

この違いがよくあらわれていましたね。

主人公たちは自分たちはカナダ人のはずなのに差別される理由に悩むんですから。

 

チーム朝日は日本人らしい野球をすることで、勝つことができるようになりましたけど、バントで勝つって、地味だけどすごい冒険ですよね(笑)

意表をつけることはできるんでしょうけど、次第に通用しなくなりそうな。

だけどそうした努力が実を結び、チームは認められるようになっていきました。

しかし時代が彼らを翻弄します。

第二次世界大戦に突入したことで、日本は(カナダや欧米からみれば)悪の敵国になってしまったからです。

だけども彼らの功績は残る、というところで映画は終わりました。

 

史実に基づいているから、もっと派手なドラマを期待する人には肩透かしを食らうかもしれません。

だからなのかこの映画あっさりなんです。あっさりしているし、もっさりとしている。

冗長なところがいくつかみられ、映画としてのテンポはあまりよくないのが難点です。

 

author:トモヤムクン, category:-, 16:45
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