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小さな映画館 第97幕

「レベッカ」

「悪い奴ほどよく眠る」

「戦場のピアニスト」

「アバター」

「高地戦」

 

「レベッカ」

ジョーン・フォンティン主演 アルフレッド・ヒッチコック監督作品

 

【あらすじ】

旅先で「わたし」が出会ったイギリスの富豪マキシム。二人は恋に落ち、結婚するが、「わたし」はつねに前妻のレベッカという女性の亡霊と比較され、精神的にまいっていた。しかしそんな時、マキシムから衝撃の告白を受ける。

 

【感想】

さすがはヒッチコック。序盤から中盤にかけてはとにかく「レベッカ」という前妻の亡霊に脅かされる女性を描き、終盤では驚きの真相で畳みかけてきます。

うまいな、と思ったのはヒロインに名前がないことです。一度も呼ばないんですよ。だからこそ「レベッカ」という女性が強調されるんです。視聴者もヒロインの視点ですから、「レベッカ」という女性の謎に翻弄されたことでしょう。

ヒロインもマキシムも、あの従兄弟でさえ最終的にレベッカの秘密に惑わされていたわけです。視聴者だってレベッカは悪女なのか、聖女なのかわからなかったですよね。しかし最期の最後でその呪縛が視聴者と共々解き放たれたわけですが、誰よりもレベッカの亡霊に憑かれていたのがダンヴァース夫人だったことが驚きでした。

 

「悪い奴ほどよく眠る」

三船敏郎主演 黒澤明監督作品

 

【あらすじ】

西幸一は住宅公団の副総裁岩淵の娘佳子と結婚する。この披露宴の最中岩淵たちの汚職をばらすようにウェディングケーキに細工がしてあった。西は殺された父親の復讐のために岩淵たちを破滅させていく。

 

【感想】

家庭における父の顔、仕事における重役の顔、というのは必ずしも同じではないのかもしれません。しかしそれでいて同一人物であるのには変わらないのです。「悪党」というのは人間のある側面のことです。

岩淵たちは確かに私利私欲にかまけた「悪党」です。しかしそれでいて家庭における「親」という「善」の部分を見せていたんです。つまり西にとって岩淵は確かに悪党ですが、「私には父が憎めない」という言葉があるとおり佳子にとってはたった一人の父親なのです。しかしだからこそ西はたった一人の父親を殺されたことが許せないのです。

復讐に身を燃やす西、それはイギリスで評されたようにハムレットのようなものです。ハムレットもまた父の亡霊に取り憑かれ、憎しみに満ちています。

ここでは

ハムレット=西

オフィーリア=佳子

レアティーズ=辰夫

ポローニアス=岩淵

ホレイショー=板倉

と当て嵌まります。

しかしいつの時代も復讐を題材にした作品で、幸福な結末というのは約束されませんね。

本当に悪い奴というのは面に出てこないものです。面に出る悪い奴というのは身の危険に震えながら、それこそ不眠の闘いでしょう。しかし本当に悪い奴は、他人の死など気に問わず、よく眠るのです。

 

「戦場のピアニスト」

エイドリアン・ブロディ主演 ロマン・ポランスキー監督作品

 

【あらすじ】

ポーランド、ワルシャワでピアニストとして活躍していたシュピルマン。しかしナチス・ドイツがポーランドへ侵攻し、生活は一変してしまう。ある日絶滅収容所へ移送されかけるが、知り合いの署長の計らいで難を逃れる。そこから彼は反ナチスの人間たちを頼りに隠れて暮らしていくが、ある時ドイツ人将校ヴィルムと出会う。

 

【感想】

多くの人が、「戦場のメリークリスマス」か「海の上のピアニスト」と間違えてレンタルしたことでしょう(真顔)

 

さて僕はかねがね思っていたことがあります。それは「芸術の死こそ、文明の死。そして人類のあくなき自由の死」だということです。芸術というのは己の内面性を描きつつ、社会の実像を描いていくものです。それすら規制され、弾圧されてしまうのなら、人間の自由性は奪われたも同然なのです。

何度も本ブログでも触れていますがナチスドイツはアーリア人至上主義を掲げ、ユダヤ人を根絶やしにしようとしました。実際のところユダヤの金融資本は大きく、その影響力も計り知れないことは事実です。しかしだからといって、多くのユダヤ人に罪はありません。

ピアニストのシュピルマンはピアノという美しい旋律を描く一方で、戦争という残酷な現実に直面します。ピアニストであっても、彼は逃げ隠れることしかできません。これは世相を皮肉る芸術といえど戦争に対抗できない、という妙な皮肉に感じます。しかしそれでも彼は生きることを選択します。その先にあったのは、やはり自由の象徴である芸術なのです。

ナチスは非道で残虐なのは歴史的事実ではありますが、それでもドイツ人将校ヴィルムのような善を忘れていない人間が描かれていたのがよかったです。もちろんこれは事実に基づいた話なので、よりそのメッセージ性が強調されます。

最初と最後のショパンが同じようで、違い毛色をしていたのは非常に興味深かったです。

 

「アバター」

サム・ワーシントン主演 ジェームズ・キャメロン監督作品

 

【あらすじ】

22世紀人類はパンドラと呼ばれる惑星でアバター計画に着手した。先住民のナヴィと取引をするため、ジェイクはアバターとして近付くが、ナヴィの娘、ネイティリと恋に落ちる。

 

【感想】

テーマは非常に明快です。人種の共存です。

人類の歴史を紐解くと、必ずと言っていいほど人種間諍いが続いています。それは悲しいことに今尚続いているわけです。

ナヴィは自然や民族を大切にする、原住民です。しかし瀕死になった地球からやってきた人間というのは彼らからすればエイリアンであり、侵入者です。

これはアメリカの歴史でもありますよね?そうインディアンの歴史です。ネイティブアメリカンとも呼ばれますが、元々アメリカ大陸に住んでいた民族が、開拓してきた人々によって虐殺されていきます。こうしたアメリカの歴史があるからこそ、描ける映画でもありますね。

この映画は3Dで観てこそなんでしょうが、それでも美しい背景にCGは良かったですねー。

まあ設定はいろいろツッコミどころはあったけど、良作!

I See!!

 

「高地戦」

シン・ハギュン コ・ス主演 チャン・フン監督作品

 

【あらすじ】

朝鮮戦争末期の1953年、南北境界線を巡る停戦協定は難航していた。高地では攻防が続いていたが、韓国諜報部隊のウンピョ中尉は人民軍の内通者を探すために派遣される。しかしウンピョは彼らと交流していくうちに仲を深めていく。

 

【感想】

僕は、こういう映画こそ戦争映画の本質だと思うんです。つまり敵軍が悪、自軍が悪として描くのではなく、戦争という狂気を誰もが望んでおらず、血を流さない上だけが望んでいるということです。

とにかく韓国も北朝鮮、つまり韓国軍と人民軍は生きるために、戦争をしているのです。相手を潰すことが戦争の終結なのです。

ワニ中隊はあらゆる死線を乗り越えてきた部隊です。だからこそ絆は深くなっていきますが、その分誰かが死んでいくことにも慣れていってしまった描写は辛いものがありました。それでも人民軍の置いていった手紙などのやりとりをしていく内に、敵でありながらも心が通じていき、それが期待となっているシーンは好きですね。けどそれが後々、暗いシーンにたたき落とされるわけですが。

スンヒョクは戦争の狂気に巻き込まれた本当に実直な青年です。それはイリョンも同じです。人民軍もです。

最後の12時間の間に歌った両軍の歌はなんとも悲愴な響きがありました。

 

 

 

 

author:トモヤムクン, category:-, 10:51
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