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小さな映画館 第98幕

「スポットライト 世紀のスクープ」

「ナイトクローラー」

「影武者」

「JIMI:栄光への軌跡」

「シンクロニシティ」

 

「スポットライト 世紀のスクープ」

マーク・ラファロ マイケル・キートン主演 トム・マッカーシー監督作品

 

【あらすじ】

2001年マサチューセッツ州ボストンの日刊紙「ボストン・グローブ」はマーティ・バロンを新編集長に迎えた。バロンは少数精鋭のチーム「スポットライト」にゲーガン神父の児童虐待事件を追うよう持ちかける。しかし調査をしていく過程で、教会全体を巻き込む事件へと発展する。

 

【感想】

下に書いてある「ナイトクローラー」がマスメディアの過剰を描くのなら、今作品はマスメディアだからこそできる役割の部分をこの映画が描かれています。というか終盤のシメはジャーナリズムとはこうあるべきだ!っていう教訓でしたしね。ただね、やっぱり情報を独占しなければ!っていう、所謂「利益」が先行しちゃうんです。利益を追求するからこそ、例えジャーナリズムといえ時に腐敗するわけです。しかしメディアの役割というのは真実を国民に報道すること。「国民の知る権利」を護ることなんです。だからこそ腐敗した組織を正すあり方でないといけません。

同じように教会もまた腐敗していました。

キリスト教といっても、決して一枚岩ではありません。イエスが亡くなり、弟子たちが伝承し、そして巨大なローマ帝国が飲みこんで、肥大化していった歴史があります。その過程の中で大まかにカトリックとプロテスタントという宗派にわかれました。今回取り沙汰されたのはカトリックのほうです。カトリックは簡潔に言えばローマ法王及び教会をトップとして、各地に聖職者である神父が配属されています。そして今回の問題とも繋がるのですが、カトリックには「禁欲」というキーワードが出て来ます。あくまで聖職者に対する禁欲です。しかし人間にはあらゆる欲求が原動力になるため、その欲求を信仰で抑え込んでしまうと、こじれてしまうことがあります。それがこの事件のように虐待というかたちで現れてしまいました。

宗教的批判というよりも、個人的には「禁欲」というのは本来の人間性からかけ離れたもので、殆ど不可能に近いものだと思っています。

カトリックの信仰、特に保守的な層からすれば信仰ほど尊いものはありません。だからこそ間違っているでのはないかと思っていても、それ以上踏み込めないのです。そしてそうした敬虔な心が、皮肉にもあくどい神父たちに刺激を与えてしまいました。

最後のほうで電話が鳴りっぱなしで、被害者からの報告が殺到しましたよね?あれは何を表しているのか。つまり黙認、もしくは黙殺してきた闇がたくさんあったのです。

人間はどこかで間違いを起こします。しかし正すことができるのです。黙殺さえしなければ。

ジャーナリズムは闇にも染まれば、光りにもなります。それは信仰もまた同じです。

 

「ナイトクローラー」

ジェイク・ジレンホール主演 ダン・ギルロイ監督作品

 

【あらすじ】

職のないルーは泥棒をして金を稼ごうとしたがうまくいかない。そんな時、彼は事故現場に遭遇する。そこにいたのは凄惨な現場を売りにするカメラマンたちだった。ルーは警察無線を盗聴し、いち早く現場をへ駆けつけ、その映像をテレビ局に売りつける。ルーは仕事を拡大させようと、金を欲していたリックという若者を助手として雇う。

 

【感想】

テレビを付けても、インターネットで調べても、何とも凄惨な事件や事故がこれでもかというほど溢れています。時にネットではメディアの過熱な報道を批判する一方で、ネットもまた偏向的な情報を発信していきます。では、根本的になぜこのように取り上げるのか。簡単です。人間の「知りたい」という欲求のためです。秘匿にされたものこそ、人のロマンをかき立てます。

ルーは所謂社会病質者としての素質があります。他人の感情を共有せず、支配し、自らも欺く。実は意外とこういう人間が政界のトップであったり、金融業界の大物だったり、企業の社長だったりするんです。良い方向に考えるのなら、そうしてトップになった社会病質者は利益を追求するため、会社としては発展していき、国としては最終的に国民に還元されるかたちとなります。しかし悪い方向で考えれば、自己の利益を追求するがあまり、非情になり、容赦なく不要な人間を切り捨てていきます。

ルーは何より事件を待つのではなく、作るといった方法で、金を稼ぐようになりました。

この映画全体で見ればルーは確かに合法的な悪者でしょう。しかし、ここで卵が先か、鶏が先かの議論になります。彼という人間が、そうしたビジネスを考えるに至ったのには、大衆の興味関心があるわけです。だからこそどんな非道徳的、非倫理的な映像であっても視聴率がとれます。ルーが大衆を惹き付けるのか、それとも大衆がルーを惹き付けるのか。これは大衆と個人の利益の問題です。

この映画は面白かったです。とにかくジェイク・ジレンホールの目力と独特の早口が何よりも狂気を引き立ててましたね。

 

「影武者」

仲代達也主演 黒澤明監督作品

 

【あらすじ】

武田信玄とその軍勢は野田城を攻め落とそうとしたが、ある夜、信玄は狙撃され死んでしまう。信玄の遺言により幼い嫡孫・竹丸が成長するまで3年は信玄の死を秘匿とすることに。そこで信玄と瓜二つの盗人を捕まえ、彼を信玄の影武者として立てることに。

 

【感想】

疾きこと風の如く、徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如く……

 

風林火山は元々孫子によって説かれた言葉です。日本では武田信玄が使用した、という逸話で有名ですね。

この映画でも信玄というのはどんなに戦況が変わろうとも「山」の如く構えている存在として取り上げられました。だからこそその山が崩れてしまえば、風も林も火もないわけです。それだけ信玄は部下や親族からの信頼が厚いことを意味します。

影武者になったのは盗人で磔になりかけたところを捕まえられ、信玄の身代わりとなりました。身分も何もかもが違うこの男。しかし、信玄に接し、信玄を演じることによって次第に影武者としての役割を果たしていきます。しかし内情を知る者からしたら、たかだか盗人が信玄を演じているに過ぎません。父親の亡霊に悩まされ、常に劣等感を抱いてきた武田勝頼は父の影法師を憎みます。それどころか、自分を信頼しない家臣まで憎むのです。

大きな山は時としてその存在に脅かされることがあるのです。影法師でさえ、本物信玄の幻影に悩まされました。しかしそれでいて彼は本当に信玄としての役割を果たしていったのです。最初こそ祖父ではないと言い切った竹丸が、影法師の正体がわかろうとも本当の祖父のように抱きついていきました。彼もまた影でありながら、山であったのです。

それにしても信長も家康もなかなか小者でしたね。というより、信玄の威厳を見せるために、よく大物として描かれる信長、家康が小さくしてました。

さてこれは黒澤明のカラー映画になるわけですが、色をふんだんに使って表現したりしていましたが、今で観るとちょっと古くさいのは否めません。ある意味でモノクロのほうがリアリティがあり、黒い血でさえ、本物のようでした。

 

「JIMI:栄光への軌跡」

アンドレ・3000主演 ジョン・リドリー監督作品

 

【あらすじ】

天才ギタリスト・ジミ・ヘンドリックスがスターダムへ上がる、2年間を描いた。

 

【感想】

ジミ・ヘンドリックスの影響は多大なもので、4年間の短い活動にも関わらず、現代のギタリストにまで彼のプレイは浸透しています。かく言う僕もジミのギターに魅了されたひとりで、「Foxy Lady」のリフにノックアウトした記憶があります。

さて映画に関してですが、良作ではあるし、俳優陣も本物そっくりでいいんだけど、全体的に薄い。イマイチ、ジミヘンの凄さを表しきれていない。もちろん主題はジミヘンと女性なんだけども、もっとストーリーを濃くしてもよかったと思う。ただジミヘンの偉大さで成り立ってる部分もある。

ただ、素晴らしいと思ったのはジミの楽曲が権利で使えなかったのにも関わらず、当時の雰囲気を醸し出していた点です。それは絶対に評価できることです。オリジナル曲を使わなくても、あのジミの独特の空気感、つまり当時の世界に与えた衝撃の音を表現できている部分だけでも見物です。クラプトンがステージを降りてしまうシーンなんかは良かったですね。ただ、ギター弾く者からすれば、あてふりの部分、特にピッキングが薄くてなんとも迫力不足だな、と思ってしまったのですが(苦笑)

ジミの孤独は女性との関係でよくわかります。父親に電話を掛けても金のことばかり。そして人種の問題です。ジミは黒人であろうと白人であろうと、自分が凄いと思う人をリスペクトしていました。しかし活動家の中にはそれを面白くないものとしていた人たちもいます。白人マスメディアからも土人などと揶揄され、人種においてもジミは孤独でした。そうした孤独がジミのギターへの情熱となります。

それにしてもキャシーの人間くさい部分も良かったのだけど、対照的にリンダは美しかったですね。

 

「シンクロニシティ」

チャド・マックナイト主演 ジェイコブ・ジェントリー監督作品

 

【あらすじ】

タイムマシンを発明しようとしていたジムは、制作に必要なMRDを提供してもらうため投資家のクラウスを頼った。しかしジムは謎の女性アビーによって権利をすべて奪われてしまう。ジムは自らが過去に向かい、彼らの計画を阻止しようとする。

 

【感想】

お、面白くない、だと!

張りぼてのSF映画。きちんと伏線を用意したのはいいものの、もうちょっとうまく隠せないものだろうか。台詞のひとつひとつが不自然で、「ああ、この台詞はこうだろうな」と簡単に予測できる。なのにも関わらずタイムマシンに関する解説が少ないから、視聴者が置いてけぼり。

結末としては本物のジムはすでに亡くなっていたものの、別世界線のジムがその世界のアビーと出会い、めでたしめでたし。

とにかくもうちょっと説明するか、筋をはっきりするかしたほうがいい。

author:トモヤムクン, category:-, 18:42
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