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小さな映画館 第106幕

「7番房の奇跡」

「老人と海」

「裏切りのサーカス」

「サイド・エフェクト」

「スイミングプール」

 

「7番房の奇跡」

リュ・スンリョン パク・シネ主演 イ・ファンギョン監督

 

【あらすじ】

知的障害をもつイ・ヨングは6歳の娘イェスンとふたりで暮らしていたが、ある日道に倒れている少女とふたりでいるところを目撃されてしまい、逮捕されてしまう。その少女は警察庁長官の娘で、捜査は素早く行われ、証拠も不十分なままヨングは死刑を求刑される。7番房に入れられたヨングは同じ受刑者とわかりあっていく。

 

【感想】

 

正直、大人イェスンと先生タイプです(真顔)

 

ああ、もうボロボロ泣いた。本当にラストは大泣きした。こういう表現って安易であんまり使いたくないんだけども、それくらい感動しちゃった。

この映画は韓国版「アイ・アム・サム」みたいなところもあるんだけども、それよりは少しコメディ寄り。本当に序盤から中盤にかけては笑いどころが多くて、出てくる登場人物が、犯罪者にも関わらず愛おしい。ヨングとイェスンの純粋な善がみんなに伝わっていく感じが本当に良かった。

それと同時に結構社会的な風刺も描かれています。割と韓国映画に出てくる警察っていうのは、横暴で人権を無視するようなところがあります。今回もロクな調査もせず、警察庁長官のご意向によってヨングという被害者出てしまいました。最後に弁護士となったイェスンがそうした捜査の横暴さを立証したわけです。

ところどころ突っ込みどころはあるんですよ、もちろん。だけどそんなことをお構いなしにしているのが、コメディである要素なんです。何よりも大切なのは親と子の絆です。そして伝染していく善です。人間の根っこはもしかしたら欲深い悪なのかもしれませんが、時折、善がひょっこり目を出したりします。だからこそ司法制度や個人的な感情が無罪である男の人権を奪ってはいけないんです。

 

この映画におけるイェスン役の少女は怪演でしたね。この子とリュ・スンリョンによって成り立った映画と言っても過言ではありません。

 

「老人と海」

スペンサー・トレイシー主演 ジョン・スタージェス監督

 

【あらすじ】

助手の少年もおりてしまった船で、ひとり老人は沖に出た。そこで老人は巨大なカジキと出くわす。

 

【感想】

面白いか面白くないかって言えば当然面白いんです。ヘミングウェイの傑作ですし。ただ、じゃあ映像として文学を超えたかっていうと個人的には疑問です。忠実に描いていたとは思うんですけども、どうしても原作を読んだものをそのままイメージにした感じです。いや、それどころか原作のほうがカジキとの死闘に迫力がありました。それに映像で勝負するなら、語りは本来不要なんです。それだったら原作で十分だ!と。ただ、文句は言っても、スペンサー・トレイシーの白熱の演技は見ものです。

 

老体になってしまった老人の体は、かつての栄光が薄れ、半身になってしまったカジキマグロと同じなんです。言ってしまえば自分との闘いなんです。何度も何度も諦めかけようとしましたが、それでもカジキも老人に応戦してくる。最後は結局第三者のサメがすべてを持って行ってしまい、気力を使い果たしてしまいましたが、それでも少年が再びいっしょにいてくれることで、「ライオンの夢」を見ることができました。

夢のライオン(野心or闘争心)、カジキマグロ(戦友)、サメ(敵)、少年(受け継ぎ生きていく意志)それぞれはこんな感じではないかな、と。

そして最後の旅行客はカジキだろうと、サメだろうと、何の骨であろうと無知で自然を知らない都会の人への皮肉だと思います。

 

「裏切りのサーカス」

ゲイリー・オールドマン コリン・ファース トム・ハーディ主演 トーマス・アルフレッドソン監督

 

【あらすじ】

東西冷戦下、イギリス機密情報部(通称サーカス)とソ連情報部は水面下で様々な情報戦を繰り広げていた。長年の作戦失敗や機密漏えいから、サーカスの長官コントロールは内部にスパイ「もぐら」がいると指摘した。「もぐら」の情報源と接触するために、サーカスのジム・プリドーをハンガリーに送り込むも失敗してしまう。責任をとってコントロールと彼の右腕だったジョージ・スマイリーは失脚してしまう。

 

【感想】

ゲイリー・オールドマンの渋さに惚れ、コリン・ファースの渋さにも惚れ、トム・ハーディの美しさに惚れ、ベネディクト・カンバーバッチの今見れば違和感のある金髪に惚れ、マーク・ストロングの「おまえプーチン(ソ連側)みたいな面してんな」とつっこんでしまった映画。

そして世の女性よ、歓喜せよ!

 

多分一度観て理解できる映画ではないです。どこにどういう伏線があって、ヒントがあったのか、二度や三度は観ないとわかりません。だから推理ものというよりも、絶妙な演出と演技、そして音楽を楽しむのでもいい映画です。

まあスパイ映画と訊くと、なんだか派手なアクションを期待してしまいますが、こちらは本物の諜報員のように、これといった小道具も使わず、地道な作業が多いです。

この映画は国家への忠誠か、それとも個人の感情か、を選択されているような映画です。常に誰かを裏切り、裏切られるような状況下で、どれだけ相手を愛することができるのか。

結局コリン・ファース演じるヘイドン。彼は「カーラ」の指示でジョージの妻に接近したり、同性愛の愛人であったブリドーを騙したり。意外性はなかったのですが、これで一層「カーラ」という大ボスの正体が気になってきます!

 

 

「サイド・エフェクト」

ジュード・ロウ ルーニー・マーラ主演 スティーブン・ソダーバーグ監督

 

【あらすじ】

うつ病を患っていたエミリーは、精神科医のバンクスが処方された新薬の副作用のために、夫を殺してしまう。医師として社会的信用を落してしまったバンクスは、エミリーの身辺を調査することに。

 

【感想】

 

精神科医のワトソン先生の患者はドラゴンタトゥーの女。

 

女の演技力怖いってなります。みんなジュード・ロウになります。髪の毛が、じゃないよ!

まあ、どんでん返しとかって言われると結構身構えるんで、割とエミリーが演技だな、っていうのはわかるんです。ただもしも、そうした前情報がなければ、エミリーの視点で映画は始まりますから、まるで彼女が被害者のように映ると思います。この映画のうまさはそこですね。

この映画は何も救われないんですよ。救われないっていうより、すっきりしない終わりなんです。なんていうか善人がいないというか、人間の意地汚さを見せつけられたというか。だからこそ誰にも感情移入できない。それが狙いなのかもしれませんが、映画が終わると、爽快感よりも不安な感情が残ります。これ、別に悪い意味で言ってるわけじゃないですよ。

もうね、みんな病んでるんですよ。というかウォール街も製薬会社も、妻も精神科医も、国も、みんな病んでる。病んでるからこそ、薬を求める。薬を投与すれば一時の安心を得られても、最後には強烈な副作用がある。「サイド・エフェクト」というタイトルは何重にも意味がとれるから、なかなかいいタイトル。

それにしてもジュード・ロウってかっこいいんだけど、こういう映画に出るとなんていうか地味な男性がすごく似合う。それなのに存在感があるし、まさに適役。

 

「スイミングプール」

シャーロット・ランプリング フランソワ・オゾン監督

 

【あらすじ】

人気作家のサラは創作に対する意欲がわかないでいたところ、編集長のすすめでフランスで生活をする。ある日、サラのもとに編集長の娘が転がり込む。静かな生活を壊されたサラだったが、次第に彼女と心を通わせていくことに。

 

【感想】

 

すごくミステリアスな映画だったんだけど、なんていうか、おっぱいの印象が強すぎて…。

 

正直なところデヴィッド・リンチ風味で好みといえば好みなんですけども、ただリンチを超えた、もしくは脅かす存在かと言われればそうでもない。確かにいろんな演出が工夫されていて興味深いけど、なんだかリンチの深みがない。

 

まずサラという中年の、どこか気だるい感じの女性と、ジュリーという魅惑的で奔放的な女性という、まったく対照的な女性が登場します。

さて初っ端からラストの解釈に移りますけど、そもそもジュリーという女性は存在したのか、どうか。個人的にはサラとジュリーは同一人物であり、本来サラが持っている、曝け出したい別の人格なのかもしれません。

ただし、いろいろと説明が難しくなることがあるんです。まずマルセルの娘の存在です。彼女はジュリーの母の死に対して酷く怯えていました。そして彼女はなぜ小人症で早老症でなくてはならなかったか?これが一番の疑問だったんです。はっきり言えば、僕もまだこの謎は解けていません。彼女は実在したのか?それともサラの空想の中の、何かしら象徴的なものなのか。

殆どが妄想だとするなら、その謎を解くカギのひとつは「マリファナ」です。彼女は服用していたのではないか、と。

いろいろ謎が多いんです。だから初見だと正直「?」というのが大多数の感想だと思います。また見返してみたい映画です。

 

 

author:トモヤムクン, category:-, 14:28
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