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小さな映画館 第159幕

「ランボー」

「ダーティハリー5」

「岸辺の旅」

「カイジ 人生逆転ゲーム」

「ファイナル・ガール 惨劇のシナリオ」

 

「ランボー」

シルベスター・スタローン主演 テッド・コッチェフ監督

 

【あらすじ】

ベトナム帰還兵のランボーは戦友を訪ねて山間の町へとやってきた。しかし戦友は化学兵器の影響でがんを発症し亡くなっていた。保安官に引き留められたランボーは言うことを聞かず逮捕されてしまう。しかし取調室での拷問が、ベトナム戦争時代の出来事をフラッシュバックさせランボーはそこから逃走する。

 

【感想】

子どもの頃って結構この映画地上波でやってたんですよね。

子どもの頃って単純に戦闘シーンがかっこいい、と思っちゃうじゃないですか。だけど大人になって改めて観ると、いろいろバックボーンの悲惨さに胸が痛むんですよね。

 

ベトナム戦争はアメリカに強い傷跡を残したのは言うまでもありません。

約20年間戦争していたわけです。

大国アメリカですよ?

対するのは北ベトナムです。南ベトナムはアメリカの支援を受けていますから味方ですね。

兵力としても後者のほうが有利でした。

しかし北ベトナム軍に苦戦したのはゲリラ戦でした。

アメリカは苦戦を強いられ、先行きの見えない戦況から世論は反戦へと傾きはじめ、ジョンソン大統領からニクソン大統領へと代わり、アメリカ軍は撤退をしました。

 

そうこのベトナム戦争というのはアメリカに大きな影を落としたんです。

イラク戦争でも話題になりましたが、例え生還しても、兵士たちには精神的な障害が残ることが多いんです。

 

話が長くなりましたがランボーもそのひとりです。

戦場という生き方を植え付けられ、戦場こそがランボーの生き方でした。

しかしアメリカ軍が撤退をしてしまえば、アメリカの世論は一気に手のひらを返します。これは日本の敗戦時も同じですね。

だからこそランボーは行き場を失ったんです。

 

「アメリカンスナイパー」なんかでも帰還兵の苦しみを描いていますよね。

ただランボーはゲリラ戦に長けすぎて、地元警察や州警察とやり合うんですけども、それがまたすごいんですよ。

1対多勢の闘いって、やっぱり滾るものがありますよね。

どうやって勝つんだろう、とか。

ぶっちゃけやり過ぎな面は否めんけど(笑)

 

でも「ランボー」は傑作です。

 

「ダーティハリー5」

クリント・イーストウッド主演 バディ・ヴァン・ホーン監督

 

【あらすじ】

違法賭博の元締めジェネロを逮捕したことで一躍有名人となったキャラハン。しかしジェネロの手先と思われる者たちにキャラハンは何度も命を狙われる。ある時キャラハンに興味を持ったマスコミの女性サマンサが現れる。

ある時有名ロックスターが殺される事件が起き…。

 

【感想】

リーアム・ニーソンや脇役ではジム・キャリーが出てきたりと、豪華な俳優陣で固めてありますが、正直あんまし物語と深くかかわってきません。

もちろん事件の動機にはなってるんですけどね。

 

キャラハンの演出も正直過剰な感じもしましたし、ロマンスも中途半端。

あと中国系の相棒も必要だったか、どうか。

 

まあとにかく撃ちまくるキャラハンが今回は厄介者というより、ヒーローとして描かれていましたね。

 

「岸辺の旅」

浅野忠信 深津絵里主演 黒澤清監督

 

【あらすじ】

夫優介が失踪してから3年、立ち直りかけていた妻瑞希のもとに彼が帰ってきた。「自分はすでに死んだ身」と説明され混乱する瑞希だが、彼の想い出の地を巡る旅へと出かけることを提案される。

 

【感想】

不思議なお話です。

生きている者と死んでしまった者との接触。

誰もが亡くなった人と会いたいと望みますよね。

黒澤清監督は死というものをよく描きます。望んでも手に入らないもの。しかし受け入れなければいけないもの。

 

夫の優介は3年間の旅を妻とともに振り返っていきます。

優介は「なんで自分は歯医者だったんだろう」というつぶやきから始まります。

妻の瑞希も同じです。夫という人間が一体どんな人だったんだろうか、と今になって知りたくなったんです。

優介は新聞配達の老人や中華料理店にお世話になったりしていました。他にも山奥の農村で「宇宙」をテーマにした講義をする先生であったという一面を見せます。

すべて瑞希の知らなかった一面なんです。

 

優介は宇宙全体における人間の存在というものを説きます。無に近い世界に自分たちは住んでいる。

とにかく優介は自分という存在に一体どんな価値があるか見出せませんでした。

他の女性と不倫してみたりもしたけど、かといってそれほど深く愛したわけでもなく。

自分というものを見失い、最終的には自殺をしてしまったわけです。

現代人の病のひとつですね。

だけど死んでもなお、自分を知ってほしいという思いと後悔が優介を蘇られせたんだと思います。

 

ピアノの音の話のように、自分らしい音を奏でても、自分らしさって時折わからなくなるんですよね。

優介の不在によって瑞希もまた自分というものを見失っていきます。

ふたりは死んでも死んだことを知らない孤独な老人、ピアノを触らせなかったことを後悔している中華料理屋の女性、夫を亡くした女性と出会います。

みんな死者に対する無念や後悔があるんです。

老人に関しては死んだことをおぼえていてくれるのは、優介ひとりしかいない。

それも悲しいですよね。誰にも死を知らないというのは。

 

ふたりの女性は死者への後悔がありました。

 

不思議なんですよね。この映画普通に死者が出てきて、ゾッとさせられるんですけど、そこに登場人物たちは驚かない。それどころか会えることが当然のように受け入れます。

彼らもまた死を受け入れきれず、それどころか認めようとしていないのでは、と思ってしまいます。

 

瑞希も同じです。優介は死んでいない、とどこかで思い込んでいるんです。

だけど最後にはそれを受け入れましたね。

「また会おうね」と言ったシーンは、決別の証でですから。

 

黒澤清監督らしく、ゾッとさせられる場面もありましたが、これは単純なヒューマンものでも恋愛ものでもありません。

だからいろんな先入観をのぞいて観てみるといいと思います。

 

「カイジ 人生逆転ゲーム」

藤原竜也 天海祐希 香川照之 松山ケンイチ主演 佐藤東弥監督

 

【あらすじ】

自堕落な日々を送る26歳のフリーターのカイジ。友人の借金のほう証人になっていたために、多大な負債を抱えてしまう。そんな彼に金融会社の社長遠藤は、一夜にして借金が帳消しになる船に乗ることをすすめる。その船で奇妙なゲームをすることになったカイジは、人生をかけたゲームを行う。

 

【感想】

大ヒット漫画が原作の映画です。

相変わらず藤原竜也が叫んでいます(笑)

基本的に出てくるゲームはシンプルですが、シンプルがゆえに命がかかっているのかと思うと恐ろしいですよね。

 

この映画の特徴としてきちんと心理描写を入れていることですね。

ただ少し過剰すぎる演出のような気もします。

あとゲームもシンプルだったんですけど、映画としてのスケールも小さい感じがしてしまいました。

 

まあ底辺が底意地を見せて、上から見下している層にたたきつけるカイジの心情というのは現代社会においていろいろ共感を得られるかもしれませんね。

それくらい格差社会という歪さが、こういったゲームを生み出すんですから。

 

「ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ」

タイッサ・ファーミガ マリン・アッカーマン主演 トッド・ストラウス=シュルソン監督

 

【あらすじ】

マックスはかつてカルト的人気を博したスプラッター映画の女優で母であるアマンダを交通事故で亡くす。しばらく悲しみの底にいたが、ある日母が出演していた映画を観に行くことに。しかし館内で火事が起こり、スクリーンの裏に逃げるとそこは映画の世界だった。

 

【感想】

B級ホラー映画をパロディ化したようなB級映画。

 

「13日の金曜日」のような設定のホラー映画の中で、テンプレ的な展開が起きるわけです。それを利用してこの映画はつくらてています。

ただもちろんコメディなので、なんで映画の世界にいったのかという説明は一切ありません。

ここら辺はまあいいんです。

 

とりえあず映画の中での母との再会。

そしてホラー映画の惨劇のテンプレの様々。

若干コメディ成分が少なく、割とガチで殺されるあたりは普通のスプラッターでしたね。

でもよかったですよ。

最後のオチもよかったと思います。

 

 

author:トモヤムクン, category:-, 12:15
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小さな映画館 第158幕

「サウンド・オブ・ミュージック」

「夜空はいつでも最高密度の青色だ」

「サードパーソン」

「世界の果てまでヒャッハー!」

「ブリングリング」

 

「サウンド・オブ・ミュージック」

ジュリー・アンドリュース クリストファー・プラマー主演 ロバート・ワイズ監督

 

【あらすじ】

歌を愛する修道女マリアはトラップ家の7人の子供たちの家庭教師となる。軍隊式で規律の厳しい子育てに方針に、当初マリアは戸惑ったが、だが彼女の持ち前の明るさと歌で子どもたちに笑顔が戻る。次第にマリアもゲオルクもお互いに惹かれ合うが…。

 

【感想】

昔、この映画を知った時は、普通に能天気で明るい映画だと思ってたんです。だけど実際に観てみると、少し違うんですよね。

時期はドイツによるオーストリア併合、そして第二次世界大戦前夜です。ナチスの台頭ですね。

そんな時代が背景の映画ですから、一筋縄ではいかないわけです。

 

だけども「ドレミの歌」「エーデルワイス」「マイ・フェヴァリット・ソング」など、耳に残る曲がたくさんあります。

そしてマリアをはじめ、出てくる人たちは本当にいい人たちが多いんです。

特に婚約者なんか可哀想な立場ではあるんですけど、理解がある美しい女性です。

 

オーストリアの自然の雄大さを背景に楽しく歌うマリアたちのシーンは特に印象的です。終盤に再び雄大な自然がバックになりますから、人間の愚かさと同時に無限大の愛情というものが見えてきます(少し臭いセリフですが)

ナチスの危険性を訴えながらも、表立って言えないことから、「エーデルワイス」にのせて歌うシーンもいいですね。

オーストリアを愛し、憂うようなゲオルク。

後半はいわばナチスとの逃亡劇になります。ここら辺はオーストリア人として「逃げた一家」として不評ではあるようですね。だけども家族を護り、真の自由を目指すための行動としては、あながち間違っていないものではないでしょうか。

 

歌を自由に歌えるというのは、本当に平和で愛のある時代でないとできませんから。

不朽の名作です。

 

「夜空はいつまでも最高密度の青色だ」

石橋静河 池松壮亮主演 石井裕也監督

 

【あらすじ】

看護師として安定した生活を送りながらもガールズバーで働く美香と、左目半分の視力がなく工事現場で働く慎二。ふたりは東京での懸命に生きながら、そして出会った。

 

【感想】

「東京」という大都会には1000万人の人口が密集しています。上京という言葉が昔からあるくらい、東京にはたくさんの人たちが故郷をあとにして出てきますよね。

東京というところは大都会であり、人口が多いながらも、人との接点はあまりありません。

みんながみんな、自分の生活で手一杯で、他人を見る余裕がないからです。

 

美香は母親の死の原因がわからないことえの苛立ちと、うまく愛情表現ができない女性です。「愛する」ということがわかないでいました。

生活は安定していながらも孤独で、病院の中で死を何度も見てきています。そのたびに「お世話になりました」と遺族が涙を流すののに対して、「大丈夫、すぐに忘れるから」と呟きます。そう、人は死んでもその瞬間はおぼえています。だけどずっとおぼえていてれる人は、意外と少なかったりするんですよね。

どこかで誰かが死んでいる。だけど誰も憶えていないことも多いです。

パキスタンの人たちが死んでもバラエティを流すのに、アメリカの人たちが亡くなったら自粛するってなんでだろう。って美香は言います。不思議ですよね。同じ人間なのに。

 

慎二は頭こそいいですが、コミュニケーションをとるのが苦手で、工事現場で働いています。

片目が見えないというハンディを負いながらも、それをひた隠しにして、陽気にふるまうんです。

だけど人よりも死に対して敏感です。

半分しか世界が見えていない。だけども半分を必死にみているんです。それは誰よりも。

同僚や隣人のおじいさんが孤独死をしていき、それがさも当然で自然のように流れていくんです。

 

ふたりは別に人生に悲観しているわけでもありませんし、絶望しているわけでもありません。だけど希望がないんです。

ただ生きて、ただ死んでいく。

みんな同じように。

どっちを選んだって自由なんです。死ぬことを選んだって、生きることを選んだって。

だけど登場人物たちには生きる大きな目的がなくても、死ぬ理由もないんです。

だからこそ、生と死の狭間で、空虚な思いを抱きながら、なんとか生きている。

 

この映画で描かれているのは「東京」という様々な人が集まったコミュニティでの、他人に対する無関心さと、利己的にならざるをえない環境が描かれています。

田舎でも同じですけど、大分隣人の顔を知らないとか多くなってきましたよね。誰が住んでいるのかわからないとか。

 

騙されてやってきたフィリピン人も同じです。

借金してやってきたのにも関わらず、騙されていたんですけど、この男性は文句も言わずに重労働に勤しみます。むしろ文句を言っている日本人の同僚よりも勤勉なんです。

現代も外国人労働者に対する扱いが問題になっていますよね。だけど企業なんかが求めるのは人間性ではりません。労働制とどれだけ安くこき使えるか、ということだけです。

フィリピン人たちも騙されていながらも、借金をしていることから帰ることができない状態であり、だけども誰も問題にしないんです。

 

元々詩集から着想された映画ですから、まるで詩を読んでいるように物語は進んでいくのが美しいんですよね。

予感がありながらも、だけどそれに抗えない自分。

会話が互いに一方通行だったふたりが出会い、孤独な者同士が寄り添い合うのではなく、孤独を埋めるように距離を縮めていく姿が印象的でしたね。

 

この映画に関しては書きたいことが山ほどあるんです。だけどなかなかうまく書けない自分がもどかしいし、もっとこの映画の魅力を知ってほしい。

この映画ほど現代の日本と若者を象徴した映画はないのかもしれません。

 

あの路上ミュージシャンが売れたっていうのも、ひとつの希望ですよね。

 

「嫌なことを全部半分にしてやる」

 

「サードパーソン」

リーアム・ニーソン エイドリアン・ブロディ ミラ・クニス主演 ポール・ハギス監督

 

【あらすじ】

ピュリッツァー賞の作家のマイケルは、愛人のアンナとともにパリで過ごしていた。しかしアンナにもまた秘密の恋人がいた。

 

ローマのバーでエキゾチックな美女と出会ったアメリカ人のスコットは、彼女の娘が誘拐されていることを知り、協力しようとするが…。

 

ニューヨークで暮らす元女優のジュリアは子どもの親権を巡って資金繰りに困っていた。

 

【感想】

さてさて、これは一体どこまでが虚構でどこまでが事実なのか。

ちょっと視聴するには面倒な展開の映画ですが、3つの話が交差していきます。

 

とにかく終盤でわかるのはマイケルは子どもを、恐らく自分の不注意で亡くしてしまったことへの後悔の念があるのでしょう。

だけどそのことですら小説にしてしまう、ある意味で芸術肌の男性。

スコットには女性を救うという使命を与え、ジュリアには息子に対する贖罪をする役割を与えています。

 

そしてアンナの恋人というのは、これは父親ですね。近親相姦であるんでしょうけど、恐らくマイケルはそれすらも小説としてしまい、アンナは悲しみに逃げっていったわけです。

だけどそんなアンナさえ虚構かもしれない。

もうね、割と訳わかんなくなるんです。

 

ただ小説だと思うと、例えばスコットの展開なんてまさに小説ですよね。テロ事件の発生している世の中で、美女と出会い、娘がさらわれていると告げられる。だけど最後まで彼女を信用して、最終的にハッピーエンドで終わるという。

ジュリアもそうです。悲しい結末ではありますが、あのすれ違いはまるで物語のよう。

 

だけど最後の「Watch me」は印象的ですね。

きちんと現実をみてほしいという言葉でもありますし、自分のことを「みてほしい」ということにもなりますから。

もう一度じっくり観たい映画です。

 

「世界の果てまでヒャッハー!」

フィリップ・ラショー主演 ニコラ・ブナム フィリップ・ラショー監督

 

【あらすじ】

結婚を考えているフランクは恋人ソニアを連れて、男友達とともにブラジルのリゾート地へやってきた。しかし男らしくないフランクにソニアは怒ってしまう。そんな時フランクと男友達たちはソニアの祖母の面倒をみることに。しかし彼らは行方不明になってしまう。

 

【感想】

邦題からして馬鹿っぽいでしょ(笑)

でも本当におバカコメディなんですよ。

フランスらしく絶妙な皮肉も交えながら、とにかく笑わせてくれます。

 

とにかく笑わせてくれるのは主人公のフランクよりも、ばあさんと部族の人たち。

ばあさんハッスルし過ぎてその描写だけで卑怯でした(笑)

前半は微妙だったんですけど、部族があらわれてからとにかく爆笑の連続。

 

最後はラブコメらしくハッピーエンドです。

コメディって、感想書きづらいんですよね(笑)

 

「ブリングリング」

エマ・ワトソン ケイティ・チャン イズラエル・ブルサール主演 ソファイア・コッポラ監督

 

【あらすじ】

冴えない青年マークはおしゃれな女子高生レベッカに惹かれる。彼女の誘いによって犯罪に手を染めていくマーク。ある日から彼らはセレブの豪邸を狙うようになっていく。

 

【感想】

うん、なんというか可もなく不可もない映画。

実話がもとだから、なんとも言えないけど、セレブのセキュリティって甘いんだねー。

まあ確かにあれだけ贅沢な暮らしで、いっぱいブランド持っていればひとつなくなったって気づかないって思っちゃう。

 

そして物語の軸となるのはマーク。

冴えない容姿のコンプレックスから、どんどん悪事に染まっていくわけです。

映画の意図としては、ここら辺に感情移入させようとしたんでしょうね。

ほら顔はさえないけど、ブランドじゃらじゃらさせて女の子をはべらして、満悦してるおじさんの気分です。

犯罪だとわかっていても、自分に注目してくれるし、なによりも必要とされていると感じる。

 

そして女の子たち、とくにニッキーの反省のないこと。

ここら辺が日本人との意識の差でしょうね。

むこうは名前が売れれば、どんなに非難されようとも、ある一定のファンはついてくれるわけですから。

逞しいのか図々しいのか。

author:トモヤムクン, category:-, 09:49
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小さな映画館 第157幕

「ダーティハリー4」

「ブルーバレンタイン」

「プレデター2」

「エクソシスト2」

「デンジャラス・ビューティー2」

 

「ダーティハリー4」

クリント・イーストウッド ソンドラ・ロック主演 クリント・イーストウッド監督

 

【あらすじ】

女性画家のジェニファーは10年前、女友達に騙されて妹ともにレイプされてしまう。妹は精神に異常をきたし、ジェニファーは復讐に燃え、加害者の男たちを次々と殺していく。

一方ハリー・キャラハンは強引な捜査の手法が物議をかもし、サンパウロへと飛ばされてしまう。そこでも銃撃戦をし、着任早々煙たがられることに。

キャラハンは親友から送られた犬の散歩中、犯人とは知らずジェニファーと出会うことに。

 

【感想】

これはイーストウッドの思想が強く出ていますね。らしい作品です。

と同時にキャラハンらしくていいですね。

 

連続殺人犯が誰か、ということが主題ではなく、なぜ彼女は犯行に及んでいるのかが主題です。

そう「人権」ですね。

イーストウッドは昔から共和党派ではありますが、必ずしもリベラルと対立していたわけではありません。ただ「人権」の誇張に対しては懸念を抱いていたのはたしかですね。

トランプ大統領を支持する時も、全面的にでもはなく、「偽善のない」ところを評価していましたし。

 

ジェニファーが訴えますよね。

被害者に人権はないのかと?なぜ加害者がのうのうと暮らしているのか。

これって感情論ではあっても、じゃあ実際問題自分が同じ立場なら、絶対に許せないんだろうな、と思います。

司法が裁かないのなら自ら裁く、というのも理解できなくはないんです。

ただ、イーストウッドはきちんと考えられているな、と思ったのは、仲間に逆らえず、ずっと罪悪感を抱いていた人物を登場させたことです。彼は自殺未遂でほとんど動けない状態ですが、こうした人物を配置することで、一方的な主張ではないようにしています。

 

最後にキャラハンがジェニファーを見逃すシーンもいいですね。ここは賛否ありそうですが。

 

そして決め台詞「Go ahead. Make my day」は最高。

 

「ブルーバレンタイン」

ライアン・コズリング ミシェル・ウィリアムズ主演 デレク・シアンフランス監督

 

【あらすじ】

結婚7年目を迎え、娘と3人で暮らすディーンとシンディ。努力の末に看護師となって働くシンディに対して、ディーンの仕事は順調にはいかなかった。お互いに不満を募らせながらも、ふたりはなんとか家族を保とうとするが…。

 

【感想】

こういう恋愛映画もたまにはいいな、と思ってしまいます。いや、もちろん劇中のカップルの最後は悲しいといえば悲しいですよ。だけど妙にリアルなんですよ。

夫のディーンは妻と娘を愛していますが、仕事がうまくいきません。家族のために働こうとするからこそ、ますます苛立ちが募るんです。

妻のシンディはそういう夫を支えようとしながらも、その不甲斐なさというか、自分との立場を冷静に、客観的に見ているから、どうにも愛情が増すことがない。

 

この映画は男女の見方次第で評価もわかれそうです。それは賛否とかじゃなく、どっちに肩入れするか。

シンディという女性は恐らく愛情の欠落というか、あまり家庭の愛を知らない女性です。

妊娠した時の描写でもセックスした相手は”少なくとも”と前置きをしたうえで、20〜25人いると言っていました。どれだけ彼女が男性と肉体関係を持っていても、愛情が抱けていないかわかりますよね?

恐らくディーンに対しても愛や恋の感情は一生懸命抱こうとしても、抱けないのかもしれません。7年という歳月を費やしても抱けなかったからこそ、そこで不満が一気に噴出したのでしょう。

 

ディーンは妻と娘といっしょにいられればいい、と考えています。

それでいて結構彼女とは対照的に感受性が豊かです。

泣いたり怒ったりと、冷静なシンディとは違いますよね。

 

過去の回想と現在が交差していて、それがまったくふたりの現在と異なる様子に胸が痛くなっていきます。

「どうして?」と戻れない過去が現在にまとわりついている状態です。

 

そして家庭が崩壊し、夫婦の関係が修復できず、ディーンは去っていきました。

だけど彼らが単なる夫婦なら、まだよかったんですけど、彼らには子どもがいたんです。その存在こそがこの夫婦の悲劇性を増しているんです。

しかも娘はディーンの子ではありません。しかしディーンは一生懸命娘を愛し、娘もまた父親になつきました。

でも恐らく経済力や酒癖から親権がディーンにいくことはありません。

だからこそ最後の娘の追いかける姿が悲しかったんです。

 

恋人のうちってお互いが自己中心的になっても、ケンカして、もしくは別れて終わりますよね。

だけど夫婦は違うんです。

自己中心的ではなく、どれだけ利他的に生きられるかが求められてしまいます。

 

あんまり夫婦や恋人といっしょに観る映画としては、おすすめできません(苦笑)

 

それにしてもライアン・コズリングって二枚目から冴えない役まで、本当にいろいろできますよね。

 

「プレデター2」

ダニー・グローヴァー主演 スティーヴン・ホプキンス監督

 

【あらすじ】

近未来のロサンゼルス。気温は常に40度を超え、L.A市警とコロンビアの麻薬シンジゲートとの抗争が続いていた。現場に駆け付けたハリガン警部補は待機命令を無視してアジトへ突入する。しかしそこにあったの惨殺された無数の死体だった。コロンビア人と敵対していたブードゥー教を信仰するジャマイカ団の仕業だと思われていたが、現場の状況から人間業ではないことが判明した。

そんなコロンビア団も殺され、犯人は奇妙な怪物だと情報が与えられる。部下を殺されたハリガン警部補は仇を討つために、命令を無視して怪物に挑むが…。

 

【感想】

前作が正直シュワちゃん主体の映画だったのに対して、今回はどちらかといえばプレデター側の主体の映画になっています。

プレデターの目的がわかるわけですよ。

人間狩りであるということ。そして彼らは高度な文明の異星人。ただし顔はブサイry。

 

ぶっちゃけシュワちゃんが出てこないことに違和感がありまくりなんですよ。もちろんシュワちゃんには事前に話はいっていたみたいですけどね。

なんというかシュワちゃんとの闘いほど緊迫感がなかった。

 

そしてプレデター側にも子どもは殺さない、という騎士道精神みたいなものを出してきましたね。

騎士道もへったくれもないんですけど、ハリガン警部補もなぜ健闘されて終わったし。

凄い中途半端な映画だった。

 

もうちょっとうまい脚本家とか演出家、監督がいればプレデターシリーズはもっと名作になった気がする。

少しプレデターの映画って金かけてるわりにB級感が否めない。

 

「エクソシスト2」

リンダ・ブレア リチャード・バートン主演 ジョン・ブアマン監督

 

【あらすじ】

ジョージタウン事件より4年後。フィリップ・ラモント神父は師であったメリン神父の調査をバチカンから依頼される。ラモンド神父はかつて悪魔に憑りつかれたリーガンの主治医ジーン博士の許可を得て調査を行うが、博士の発明した機械によりリーガンの中に再び悪霊パズズが侵食しようとしていた。

 

【感想】

正直前作よりもホラー感、恐怖感は薄めです。

どちらかといえば前作の主人公的存在のメリン神父の弟子、ラモント神父が、師の死の原因と、かつての悪魔祓いの失敗に対する贖罪をするというお話です。

カトリックは悪魔を認めてませんから、メリン神父の功績は異端児扱いという(苦笑)

 

そしてリーガンはたくましく成長していました。

強いし、意思の堅い女性です。

で、相変わらず母親は忙しくて娘をほったらかし(苦笑)

ええんかい、と。

 

そして今回は宗教とはある意味で対立的立場にいる科学の側の精神科医のジーン博士が登場します。

最初催眠器具が出てきた時「うさんくせえ」と思ってしまいました(笑)

まだ悪霊のほうが信じられるという不思議な事態に。

 

最後はパズズと対決ですが、イナゴのくだりも微妙。

で、結局科学も負けるという。

なんだこりゃ、な映画で、正直最低の出来。

 

「デンジャラス・ビューティー2」

サンドラ・ブロック レジーナ・キング主演 ジョン・パスキン監督

 

【あらすじ】

「ミス・アメリカコンテスト」で大活躍をしたFBI捜査官グレイシーは全米で人気者になっていた。しかし顔が売れてしまったために、潜入捜査をするにも支障が出てしまい、彼女はFBIの広告塔となることに。

そんな中グレイシーの友人であり、ミス・アメリカのシェリルが誘拐されてしまう。グレイシーは捜査に協力したいが、できないでいた。彼女のボディガードをしていたフラー捜査官とはケンカばかりしていたが、いつのまにか意気投合し、独自に捜査を開始することに。

 

【感想】

悪くはないんです。悪くはないんですけど、これはグレイシー捜査官じゃない。だって美人過ぎるから!という理不尽なクレームをつけてしまうほど、少しグレイシー捜査官が変わっちゃった気がするんです。

当然ミスコンの影響もあるんでしょうけど、あの男勝りな感じが少しなくなったのは残念。

もちろんフラー捜査官によってむき出しのグレイシーには戻りましたけど、あの野暮ったい感じがよかったのにな、と。

 

コメディなんですけど、誘拐の部分がイマイチ、フォーカスされていない。

まるで誘拐事件は蚊帳の外のように、グレイシーとフラーのドタバタが続く感じです。

グレイシーとフラーの友情は良かったんですけどね。

 

これは無理に続編を創らなかったほうがよかったかも。

author:トモヤムクン, category:-, 13:47
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小さな映画館 第156幕

「デンジャラス・ビューティー」

「ベルリンファイル」

「エイリアン3」

「サイドウェイ」

「ナイロビの蜂」

 

「デンジャラス・ビューティー」

サンドラ・ブロック マイケル・ケイン主演 ドナルド・ペトリ監督

 

【あらすじ】

男勝りで、化粧もろくにせず、身だしなみも気にしないFBI捜査官グレイシー。彼女はある失態を犯し、懲罰を受ける予定であった。しかしある日連続爆弾犯のシティズンから、ミス・アメリカ・コンテスト主宰者宛に脅迫状が届く。FBIはコンテストに潜入捜査官を送り出そうとするが、条件にあうのはグレイシーだけだった。彼女は美容コンサルタントのヴィクターとともにマナーを学ぶが…。


【感想】

普通サンドラ・ブロックがブサイクな世の中だったら、他の女性はどうするんだ…。

 

でも本当に彼女の役作りがうまいんですよ。口調も粗暴な感じで、野暮ったい髪型や化粧にしてみせて、さらにはブタッ鼻で笑ったりと不美人感を演出してるんです。

始終コメディな感じのミステリーものなんですえけど、時々ヘヴィーな内容も入るんです。

シェリルという女性です。本当にピュアな女性で、世界平和を真剣に望んでいる子で、グレイシーとはまったく対照的な人物なんですけど、親の狂信的な教育を信じたり、大学の教授に襲われたことを当然としていたり、と少し不憫な子です。

だけどこういうピュアな子と知り合った子で、グレイシーは女性のそうした一面を知るんです。

 

一方主宰者であるキャシーはミス・コンテストに並々ならぬ思いを抱いており、しかしクビにされるという始末に激怒して今回のような犯行に及びました。

まあ、犯人はわかりやすかったですけど、最後の最後、グレイシーに対して「yeah(ええ)」と言い、それを彼女が「Yes(はい)でしょ」と直した部分はうまいな、と。

 

そして友達も彼氏もいなかったグレイシーがミスコンの女性たちと仲良くなっていく過程がよかったですね。

ミスコンにでるために繕ってた彼女たちも、最後の最後でグレイシーと打ち解け合ってましたし。

まあパンチ食らった子は、可哀想だけど、祝福してたしいい子なんだなー(笑)

 

そしてマイケル・ケイン演じるヴィクターです。これがまたいい味を出してる。オネエ言葉もいい感じだし、何よりもグレイシーを見捨てなかったところもよかったですね。

あと他のFBI捜査官もなんだかんだ、グレイシーを女として観ていないだけど、結構悪い人たちではないです。

 

案外フェミニズム映画かと思いきや、きちんとキャシーという偽善もいることから、バランスがとれています。

 

さあみなさん「World Peace!!」

グレイシーが最後にこの言葉に行きついただけでも、変化がわかります(笑)

 

「ベルリンファイル」

ハ・ジョンウ チョン・ジヒョン ハン・ソッキュ主演 リュ・スンワン監督

 

【あらすじ】

韓国国家情報局員のジンスはベルリン市内で行われるアラブ組織と北朝鮮の諜報員ジョンソンとの武器取引の現場を監視していたが、現場に突入する際に逃げられてしまう。ジョンソンは韓国側に情報が洩れていることに不安を抱き、ベルリン北朝鮮大使館のリ・ハスク大使から、妻のリョン・ジョンヒが二重スパイであるという情報を手に入れる。疑心暗鬼になるジョンソンだったが…。

 

【感想】

韓国と北朝鮮の南北の融和が発表された今観ると、なんとも複雑な気持ちにもなりますが、韓国アクション映画において、ハリウッドにも負けないクオリティになっています。

正直いろいろな国や組織が絡んでいて、ややこしいっちゃややこしいんですけど、とりあえず北朝鮮側のジョンソンを中心にして観ていけば、大体の内容は把握できると思いますし、とりあえずアクションのほうが見ごたえがあるので、あんましそこら辺んの知識がなくても楽しめます。

 

当時の状況としてはカリスマ的指導者であった金正日が亡くなり、若き金正恩が総書記になったことが発端です。

まあ金正恩の情報って、結構伏せられていましたからね、海外の組織だって信用できるかどうか測りかねていたわけです。

その北朝鮮内でも権力争いがあり、ジョンソンとその妻を裏切者に仕立てて、のし上がろうとする黒幕がいたわけですな。

 

そしてラスボス戦のようなあの広場での決闘はなかなか見ごたえがありましたよ。

相手も憎たらしい坊ちゃんだったし。

 

そして最後は南側、つまり韓国側のジンスは、あれだけ嫌っていたアカ(北朝鮮)との間に不思議な情が芽生えて、ジンスを韓国人でも北朝鮮人でもなく、無国籍の男として逃がす演出は憎いじゃないですか。

あと終わり方が凄いジェイソン・ボーンシリーズみたいで、続きがあるんじゃないの?と思わせてくれます。

 

ツッコミどころはあっても、昨今のアクション映画、それもアジアだけでなく世界的にも稀有な面白い映画です。

 

「エイリアン3」

シガニー・ウィーヴァー主演 デヴィッド・フィンチャー監督

 

【あらすじ】

リプリーたちを乗せた宇宙船が事故を起こし、宇宙の流刑惑星へと不時着する。目を覚ましたリプリーは、ヒックスとニュートがすでに死んでしまった事実にショックを受け、涙に暮れる。

ある時囚人ひとりが謎の死を遂げる。

 

【感想】

正直滅茶苦茶シンプルなストーリーです。

前作が濃厚でかつ最高なアクションを見せてくれたために、そのギャップに驚いてしまいます。

エイリアンも特に怖くなく、攻撃の意外性もまったくありませんでした。

囚人たちも特別感情移入できるような人がいなくて、リプリーに味方する理由もイマイチ曖昧。

 

最後にリプリーにはエイリアンが寄生していて、会社はその生物を欲しがりましたが、人間に危害およぶといけないとして、リプリーは自己犠牲の精神で「I'll be back」な自死を遂げました。

 

ああ、やっぱり2に比べるとイマイチなんです。

というか2でやったことをすべて無にしてしまったような感じです。

 

「サイドウェイ」

ポール・ジアマッティ トーマス・ヘイデン・チャーチ主演 アレクサンダー・ペイン監督

 

【あらすじ】

教師をしているマイルスはバツイチで小説家志望の中年男。親友で売れない俳優のジャックが結婚することになり、ふたりは結婚を祝してワイナリーを巡ったり、ゴルフをしたりすることに。マイルスは馴染みの店でマヤという女性に想いを寄せるが…。

 

【感想】

コメディなんだけども、なんというか少ししめっけのある恋愛ものであります。

とにかくハチャメチャで女好きのジャックと、対照的にうじうじしているマイルス。

正直序盤のほうはマイルスの態度に視聴者である自分もイライラさせられました。

もっと積極的にいけ!と。

そしてジャックはもうちょっと抑えろ!と(笑)

 

でも不思議なものですよね。

親友のふたりなのに、全然違うんですから。

ジャックは俳優をしていることもあって明るく、容姿も整っていますし、口が達者。

一方マイルスは内気でオタク趣味で、容姿の冴えない男。

だけどそんなふたりが親友なんですから。

やっぱりお互いにないものを求めるのかもしれませんね。

 

マヤは結婚の話から推察するに、上辺だけの夫婦関係に耐えられなかったようです。だからこそマイルスがジャックのことを秘密にしていたのが許せませんでした。

でもマヤはマイルスの人柄を知っているから、だからこそあの長編小説を読んだんでしょうね。自伝的な小説にはその人の性格がでますから。

 

だけどステファニーは可哀想でしょ、さすがに。

彼女に救いが欲しかった。

まあジャックのあの大けがでスッキリなのかもしれませんけど。

 

「ナイロビの蜂」

レイフ・ファインズ レイチェル・ワイズ主演 フェルナンド・メイレレス監督

 

【あらすじ】

ケニアのナイロビに駐在しているイギリス人外交官ジャスティン。ある日弁護士であった妻テッサが何者かに殺されてしまう。その真相を追うと、製薬会社の絡んだ陰謀であることがわかった。

 

【感想】

考えさせられる映画です。

単純明快なミステリーというわけではなく、巨大な組織の陰謀、それも現実世界で起こりうるものが題材になっています。

アフリカについて日本人はどれだけ知識があるでしょうか。

別に無関心が罪だというわけではないんです。

ただ知るべき機会があるのなら、知ることも大事ということです。

 

映画に出てくる製薬会社はアフリカ人を使って薬の実験をしていたのです。

これって、あり得るような話で末恐ろしいです。

というよりも実際にアフリカを利用して金儲けしている連中はたくさんいます。

 

この映画では正義感の強い妻がなぜ殺されたのか、ということから始まります。

最終的にはテッサは製薬会社に関する怪しいものを手に入れて殺されてしまったわけです。

ただ彼女はアフリカ人だけを守ろうとしたのではなく、愛する夫にも危害が及ばないようにしていたところで、涙が出てしまいました。

真相を知ったジャスティンもテッサの無念を晴らそうと、殺し屋に追われながらも、懸命に真実を追い続けました。

そして最後は妻の亡くなった場所で殺されたのです。

この結末が一番グッときましたね。

仮にジャスティンが生きていて、製薬会社の陰謀を明るみにする展開でもよかったはずなんですけど、ジャスティンはあえて殺されることを選んだんです。妻と同じように。

それが彼が彼女を愛していた証拠です。

 

個人的には社会派映画でもありますが、恋愛映画としても観ることができます。

author:トモヤムクン, category:-, 15:28
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小さな映画館 第155幕

「キャリー」

「太陽」

「チャイナタウン」

「ロボコップ3」

「ザ・レガシー インカの秘宝」

 

「キャリー」

シシー・スペイセク主演 ブライアン・デ・パルマ監督

 

【あらすじ】

女子高生のキャリーは気弱で内気な性格で、クラスメイトからいじめをうけていた。ある日生理のために血が出て、キャリーは動転してしまう。狂信的なキリスト教信者の母に月経の話を受けていなかったために、パニックを起こし、クラスメイトにもからかわれてしまう。

その後キャリーをいじめた罪滅ぼしとして同級生の少女スーは、恋人であるトミーに、キャリーをプロムに誘うように提言する。

 

【感想】

最初のシーンは鼻血ものでした(ボソッ)

 

キャリーに対するいじめは見ていて辛いものがありますが、だからこそ最後のキャリーの狂気の怖さが増すんですよね。

この映画ではキャリーが一体どんな能力を持ち、なぜそのような経緯になったかは明かされません。

だけど人間の恐怖というか、心理描写がうまく描かれていて、キャリーの気弱さから、晴れやかな舞台での明るさ、そこからの逆転する狂気がよかったんです。

 

とにかくシシー・スペイセクの演技がいいんですよ。

気弱で、本当に視聴者でさえ「いじめられそう」と思わせる雰囲気と、最後の血だらけになりながら、目をかっと見開いたギャップ。

 

そういえば何気にジョン・トラボルタも出てるんですよね。地味ながら。

 

「太陽」

イッセー尾形 ロバート・ドーソン 佐野史郎 桃井かおり主演 アレクサンドル・ソクーロフ監督

 

【あらすじ】

1945年の日本。終戦直前、宮城地下の防空壕で、疎開した皇后や親王たちと離れ天皇は孤独な暮らしをしていた。御前会議で戦争続行の意見で苦悩し、海洋学を研究したり、眠りに就けば東京大空襲の夢を見ていた。そして日本は敗戦し、マッカーサーとの会談で終戦を決意を告げる。

 

【感想】

平成というひとつの時代が終わります。

僕自身平成2年の生まれであるため、ほとんど平成とともに歩んできた人生です。

だからこそ平成という時代に愛着があり、かつ時代が変わるという事実に馴染めないでいます。

 

今上天皇陛下は即位されてから30年。

改めて日本人と天皇という関係性を含め、この映画の感想を書きたいと思います。

 

こんな風に厳かな書き方で始まりましたけど、最初この映画が邦画の棚にあってビックリしたんですよね(笑)

わからなくはない。だって主演は日本人だし、舞台も日本。

だけど監督はロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフ監督です。

海外の監督が撮ったということを知って、「ああ、やっぱりな」と思ったのは、やはり日本人だからでしょうね。

日本には暗黙のルールとして皇室を貶してはいけない、皇室をパロディー化することを禁じており、俗に「菊のタブー」とも呼ばれています。

まあ変に皇室関係のことをパロディにしたり、面白おかしくジョークにすれば、なんらかの団体が過激な行動にでますからね。

 

だけど一部ですが、天皇制に対して反対をあげているような団体もあります。

それは戦前にもいましたし、終戦後に増え、特に全共闘・全学連の時代が一番顕著じゃないでしょうか。

彼らは戦前・戦後のギャップと、太平洋戦争(もしくは大東亜戦争)にもつれこんだ原因としての戦前の思想を払拭し、国民による主権国家を目指しました。

これも理解できなくはないんです。戦前に信じられていた価値観がすべて否定されたわけですから(ただし全学連・全共闘はちょっと後の時代の人も多いですけど)

だけど未だに天皇制はあります。

その理由に、僕は三島由紀夫の語った言葉が印象的に残ってるんです。

三島が全学連と討論していた時、なぜ革命が成功しないのか、という問いに、

「天皇は堂々たるブルジョアではないからだ」

と言いました。

これこそ今なお天皇家が存続し、日本人が当然のごとく天皇という象徴を受け入れている理由でしょう。

もしも天皇陛下が、ヘンリー8世のような女たらしだったり、横暴な王だったりしたのなら、国民の不満から皇室は瓦解していたと思います。

しかしそうはならないのは、歴史だけではなく、今上陛下のお人柄というのが一番の要因でしょう。

少し矛盾するようですが、陛下は誰よりも民主主義的で、平和主義者であられるからです。

その戦後の日本を象徴するのが今上陛下だと思っています。

 

さて長々と語ってきましたが、この映画はあくまで外国人から見た、「人間」としての天皇が描かれています。

海外の人からしたら、不思議に思うかもしれません。

この監督はこれまでにヒトラーやスターリンを描いてきました。彼らの中には純粋さと同時に狂暴な凶悪さが潜んでいるのに対して、昭和天皇の描かれ方は、本当に子どものように無邪気なもの。純粋を体現したような存在でした。

祖父明治天皇の「よもの海 みなはらかと 思ふ世に など波風の たちさわぐらむ」を昭和天皇は大事に引き継いでいました。

しかし現実の戦況は悪化し、日本はどんどん衰退していく。

軍部も暴走し、もはやコントロールができない。

 

ある意味で昭和天皇は無力だったんです。

書き方に語弊があるかもしれませんが、昭和天皇の望まれる日本と向かってくる現実が乖離していたのです。

日本人がいる限り、ここ(皇居)には危害は及びません、と言われた時、「わたしが最後の日本人になるかもしれませんね」という言葉は、何気ないようで、実は天皇の悲哀があらわれていました。

自分のためにと死んでいく人々。だけど残されるのは天皇ひとりだという悲しみ。

最後の玉音放送を録った人はどうしたか、と訊かれ、自決した、と知った時の昭和天皇のやるせない悲哀が物語っています。

 

本当は国民を想うが故の戦争だったはずでした。

しかし車窓からみる日本の現状は誰もが傷つき、希望を失っている姿でした。

皇居で海洋学の研究をしているシーンや、食事のシーンなどとの比較があれであらわされていましたね。

皇居の平穏さと、東京の廃墟。

そして米軍による占領。

 

マッカーサーとの会談ではいろいろと逸話があります。

ただそれ自体はあまり重要視されなかったようで、マッカーサーという西洋人が、日本の(アメリカ人からすれば)皇帝と出会い、その無邪気な実態に驚かされている様子が描かれていました。

「ナマズ」の完璧さんのことを話した時、マッカーサーは逆にアメリカの合理的な考え方を示したのも印象的でしたね。

 

日本人からすれば天皇という存在は神でした。

少しややこしい話ですが、恐らく全員が全員、神の子だと信じているわけではありません。

多くのキリスト教徒がイエスの奇蹟を信じているかと言えば、そうではないように、だけども神聖にして、あえて触れない部分です。

だけどイエスもそうですが、語られていく天皇と、実体である天皇ご自身がどんどん乖離していき、結局は孤独な道をたどってしまうという、海外の人らしく、天皇をヒューマニズムとして描いています。

 

見る人によっては激怒する人もいるでしょう。

しかし僕自身、この映画に好意的というより、あまり貶された描かれ方がしていないことに新鮮さを覚えましたし、なによりも日本では描けないことを映画として撮っているから、見ごたえはある映画でした。

イッセー尾形はすごいですね。

「あ、そ」という昭和天皇の口癖もどんどん味が出てきていて、そういう細かい演技も善かったです。

 

「チャイナタウン」

ジャック・ニコルソン フェイ・ダナウェイ主演 ロマン・ポランスキー監督

 

【あらすじ】

ロサンゼルスで私立探偵をしているジェイクは、モーレイ夫人と名乗る女から、夫の浮気調査を依頼される。尾行の結果、夫ホリスは若い女と密会していることがわかる。しかしホリスのスキャンダルは別の新聞に先取りされてしまい、ホリス自身も何者かに殺されてしまった。ジェイクは独自に捜査をする過程で、貯水池の問題が絡んでいた。

 

【感想】

カッコいいですね。個人的にはジャック・ニコルソンはクレイジーな役のイメージが強いんですけど、こういうハードボイルドものをやらせてもかっこいい。

そしてフェイ・ダナウェイも魅力的ですね。

 

この映画はミステリーとしても優れていて、最後の最後で実情が判明するシーンは驚きと虚無感に襲われます。

それこそラストシーンで彼女が撃たれて、「チャイナタウン、怠け者の町」というセリフがあらわすように。

 

スキャンダラスなホリスはモーレイ夫人とキャサリンと、そして市民を守ろうとした善人でした。

対照的にクロスはどんどんメッキが剥がれていき、悪の顔を見せていきます。

この演出と脚本がうまいんですよ。

一気にではなく、徐々に真実を視聴者に突き付けてくる感じが。

 

あえてモーレイ夫人を悪役のように仕立てておいて、結局は悲劇の女性だったという。

父親クロスに犯されて、娘であると同時に妹であるキャサリンを出産。

普通忌々しいように感じるキャサリンでも、モーレイ夫人は愛していて、メキシコへいっしょに逃げようとしたんですから。

母の愛ですよね。

 

この映画の肝であるのは、結局モーレイ夫人は殺されてしまい、巨悪のクロスも動転してしまい、キャサリンも泣き叫ぶだけ。

主人公のジェイクも結局は何もできないまま、虚無感に包まれて終わるという。水源の問題だって解決したわけじゃありませんよ。警察の体たらくだって。

だけどそれがチャイナタウンという町なんです。

誰もが救われない。

だからこそこの映画の悲壮感が尾を引いていて、印象に残るんですよね。

 

「ロボコップ3」

ロバート・ジョン・バーク主演 フレッド・デッカー監督

 

【あらすじ】

市政を牛耳るオムニ社は、未来都市デルタシティの建設をもくろむ。住宅は破壊され、抵抗する者は殺されていった。ロボコップは市民反乱軍とともに戦う。

 

【感想】

この時代の映画には日本が結構出てくるんです。いわば、現代のハリウッドでよく中国が出るのと同じです。

ただ当時のジャパンバッシングはすさまじいものですからね、日本の会社が乗っ取るようなかたちで悪役なのは仕方がないです。

 

さて今回はルイスがいきなり殉職してしまうシーンから始まります。

そして科学というかコンピューターに妙に詳しい天才少女が登場します。

権力社会vs市民というわかりやすい構図になっていて、警察官もようやくストライキを辞めて仕事をしましたよ、このシリーズで。

 

ただ相手のロボットは序盤こそ強かったんですけど、闘いはあっさり終わったのが残念でした。

強いのか弱いのか。

 

そして空飛ぶ装置という安易なものが登場してしまったことで、すべてが陳腐化してしまったのが残念。

 

「ザ・レガシー インカの秘宝」

シェーン・ウェスト主演 テリー・カニンガム監督

 

【あらすじ】

考古学者のジャック・ワイルダー。彼はかつての友人から渡されたインカ人をキリスト教徒にした人物の日記をたよりに、伝説の黄金郷エルドラドを捜すことに。

 

【感想】

すげえB級感漂う映画(テレビ映画?)でした。

題材は面白いけど、まったく興奮しない。冒険心をくすぶられない。

これを観ていたら正直、「ナショナルトレジャー」がどれだけ娯楽作品として優れていたかがわかる気がします。

そうした作品と比べてしまうと、どうしても見劣りするんですよ。

 

インカ帝国の隠された黄金とかワクワクする素材じゃないですか。

だからもったいないんですよねー。

主人公も魅力的か、と言われるとそうでもないし。

 

敵の黄金を捜す理由も、金(ゴールド)が巷に溢れれば価値が下がるからなんですよね。まあわからなくもないけど。

あと最後のあの動物はちょっとなぁ…。

author:トモヤムクン, category:-, 09:25
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