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小さな映画館 第98幕

「スポットライト 世紀のスクープ」

「ナイトクローラー」

「影武者」

「JIMI:栄光への軌跡」

「シンクロニシティ」

 

「スポットライト 世紀のスクープ」

マーク・ラファロ マイケル・キートン主演 トム・マッカーシー監督作品

 

【あらすじ】

2001年マサチューセッツ州ボストンの日刊紙「ボストン・グローブ」はマーティ・バロンを新編集長に迎えた。バロンは少数精鋭のチーム「スポットライト」にゲーガン神父の児童虐待事件を追うよう持ちかける。しかし調査をしていく過程で、教会全体を巻き込む事件へと発展する。

 

【感想】

下に書いてある「ナイトクローラー」がマスメディアの過剰を描くのなら、今作品はマスメディアだからこそできる役割の部分をこの映画が描かれています。というか終盤のシメはジャーナリズムとはこうあるべきだ!っていう教訓でしたしね。ただね、やっぱり情報を独占しなければ!っていう、所謂「利益」が先行しちゃうんです。利益を追求するからこそ、例えジャーナリズムといえ時に腐敗するわけです。しかしメディアの役割というのは真実を国民に報道すること。「国民の知る権利」を護ることなんです。だからこそ腐敗した組織を正すあり方でないといけません。

同じように教会もまた腐敗していました。

キリスト教といっても、決して一枚岩ではありません。イエスが亡くなり、弟子たちが伝承し、そして巨大なローマ帝国が飲みこんで、肥大化していった歴史があります。その過程の中で大まかにカトリックとプロテスタントという宗派にわかれました。今回取り沙汰されたのはカトリックのほうです。カトリックは簡潔に言えばローマ法王及び教会をトップとして、各地に聖職者である神父が配属されています。そして今回の問題とも繋がるのですが、カトリックには「禁欲」というキーワードが出て来ます。あくまで聖職者に対する禁欲です。しかし人間にはあらゆる欲求が原動力になるため、その欲求を信仰で抑え込んでしまうと、こじれてしまうことがあります。それがこの事件のように虐待というかたちで現れてしまいました。

宗教的批判というよりも、個人的には「禁欲」というのは本来の人間性からかけ離れたもので、殆ど不可能に近いものだと思っています。

カトリックの信仰、特に保守的な層からすれば信仰ほど尊いものはありません。だからこそ間違っているでのはないかと思っていても、それ以上踏み込めないのです。そしてそうした敬虔な心が、皮肉にもあくどい神父たちに刺激を与えてしまいました。

最後のほうで電話が鳴りっぱなしで、被害者からの報告が殺到しましたよね?あれは何を表しているのか。つまり黙認、もしくは黙殺してきた闇がたくさんあったのです。

人間はどこかで間違いを起こします。しかし正すことができるのです。黙殺さえしなければ。

ジャーナリズムは闇にも染まれば、光りにもなります。それは信仰もまた同じです。

 

「ナイトクローラー」

ジェイク・ジレンホール主演 ダン・ギルロイ監督作品

 

【あらすじ】

職のないルーは泥棒をして金を稼ごうとしたがうまくいかない。そんな時、彼は事故現場に遭遇する。そこにいたのは凄惨な現場を売りにするカメラマンたちだった。ルーは警察無線を盗聴し、いち早く現場をへ駆けつけ、その映像をテレビ局に売りつける。ルーは仕事を拡大させようと、金を欲していたリックという若者を助手として雇う。

 

【感想】

テレビを付けても、インターネットで調べても、何とも凄惨な事件や事故がこれでもかというほど溢れています。時にネットではメディアの過熱な報道を批判する一方で、ネットもまた偏向的な情報を発信していきます。では、根本的になぜこのように取り上げるのか。簡単です。人間の「知りたい」という欲求のためです。秘匿にされたものこそ、人のロマンをかき立てます。

ルーは所謂社会病質者としての素質があります。他人の感情を共有せず、支配し、自らも欺く。実は意外とこういう人間が政界のトップであったり、金融業界の大物だったり、企業の社長だったりするんです。良い方向に考えるのなら、そうしてトップになった社会病質者は利益を追求するため、会社としては発展していき、国としては最終的に国民に還元されるかたちとなります。しかし悪い方向で考えれば、自己の利益を追求するがあまり、非情になり、容赦なく不要な人間を切り捨てていきます。

ルーは何より事件を待つのではなく、作るといった方法で、金を稼ぐようになりました。

この映画全体で見ればルーは確かに合法的な悪者でしょう。しかし、ここで卵が先か、鶏が先かの議論になります。彼という人間が、そうしたビジネスを考えるに至ったのには、大衆の興味関心があるわけです。だからこそどんな非道徳的、非倫理的な映像であっても視聴率がとれます。ルーが大衆を惹き付けるのか、それとも大衆がルーを惹き付けるのか。これは大衆と個人の利益の問題です。

この映画は面白かったです。とにかくジェイク・ジレンホールの目力と独特の早口が何よりも狂気を引き立ててましたね。

 

「影武者」

仲代達也主演 黒澤明監督作品

 

【あらすじ】

武田信玄とその軍勢は野田城を攻め落とそうとしたが、ある夜、信玄は狙撃され死んでしまう。信玄の遺言により幼い嫡孫・竹丸が成長するまで3年は信玄の死を秘匿とすることに。そこで信玄と瓜二つの盗人を捕まえ、彼を信玄の影武者として立てることに。

 

【感想】

疾きこと風の如く、徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如く……

 

風林火山は元々孫子によって説かれた言葉です。日本では武田信玄が使用した、という逸話で有名ですね。

この映画でも信玄というのはどんなに戦況が変わろうとも「山」の如く構えている存在として取り上げられました。だからこそその山が崩れてしまえば、風も林も火もないわけです。それだけ信玄は部下や親族からの信頼が厚いことを意味します。

影武者になったのは盗人で磔になりかけたところを捕まえられ、信玄の身代わりとなりました。身分も何もかもが違うこの男。しかし、信玄に接し、信玄を演じることによって次第に影武者としての役割を果たしていきます。しかし内情を知る者からしたら、たかだか盗人が信玄を演じているに過ぎません。父親の亡霊に悩まされ、常に劣等感を抱いてきた武田勝頼は父の影法師を憎みます。それどころか、自分を信頼しない家臣まで憎むのです。

大きな山は時としてその存在に脅かされることがあるのです。影法師でさえ、本物信玄の幻影に悩まされました。しかしそれでいて彼は本当に信玄としての役割を果たしていったのです。最初こそ祖父ではないと言い切った竹丸が、影法師の正体がわかろうとも本当の祖父のように抱きついていきました。彼もまた影でありながら、山であったのです。

それにしても信長も家康もなかなか小者でしたね。というより、信玄の威厳を見せるために、よく大物として描かれる信長、家康が小さくしてました。

さてこれは黒澤明のカラー映画になるわけですが、色をふんだんに使って表現したりしていましたが、今で観るとちょっと古くさいのは否めません。ある意味でモノクロのほうがリアリティがあり、黒い血でさえ、本物のようでした。

 

「JIMI:栄光への軌跡」

アンドレ・3000主演 ジョン・リドリー監督作品

 

【あらすじ】

天才ギタリスト・ジミ・ヘンドリックスがスターダムへ上がる、2年間を描いた。

 

【感想】

ジミ・ヘンドリックスの影響は多大なもので、4年間の短い活動にも関わらず、現代のギタリストにまで彼のプレイは浸透しています。かく言う僕もジミのギターに魅了されたひとりで、「Foxy Lady」のリフにノックアウトした記憶があります。

さて映画に関してですが、良作ではあるし、俳優陣も本物そっくりでいいんだけど、全体的に薄い。イマイチ、ジミヘンの凄さを表しきれていない。もちろん主題はジミヘンと女性なんだけども、もっとストーリーを濃くしてもよかったと思う。ただジミヘンの偉大さで成り立ってる部分もある。

ただ、素晴らしいと思ったのはジミの楽曲が権利で使えなかったのにも関わらず、当時の雰囲気を醸し出していた点です。それは絶対に評価できることです。オリジナル曲を使わなくても、あのジミの独特の空気感、つまり当時の世界に与えた衝撃の音を表現できている部分だけでも見物です。クラプトンがステージを降りてしまうシーンなんかは良かったですね。ただ、ギター弾く者からすれば、あてふりの部分、特にピッキングが薄くてなんとも迫力不足だな、と思ってしまったのですが(苦笑)

ジミの孤独は女性との関係でよくわかります。父親に電話を掛けても金のことばかり。そして人種の問題です。ジミは黒人であろうと白人であろうと、自分が凄いと思う人をリスペクトしていました。しかし活動家の中にはそれを面白くないものとしていた人たちもいます。白人マスメディアからも土人などと揶揄され、人種においてもジミは孤独でした。そうした孤独がジミのギターへの情熱となります。

それにしてもキャシーの人間くさい部分も良かったのだけど、対照的にリンダは美しかったですね。

 

「シンクロニシティ」

チャド・マックナイト主演 ジェイコブ・ジェントリー監督作品

 

【あらすじ】

タイムマシンを発明しようとしていたジムは、制作に必要なMRDを提供してもらうため投資家のクラウスを頼った。しかしジムは謎の女性アビーによって権利をすべて奪われてしまう。ジムは自らが過去に向かい、彼らの計画を阻止しようとする。

 

【感想】

お、面白くない、だと!

張りぼてのSF映画。きちんと伏線を用意したのはいいものの、もうちょっとうまく隠せないものだろうか。台詞のひとつひとつが不自然で、「ああ、この台詞はこうだろうな」と簡単に予測できる。なのにも関わらずタイムマシンに関する解説が少ないから、視聴者が置いてけぼり。

結末としては本物のジムはすでに亡くなっていたものの、別世界線のジムがその世界のアビーと出会い、めでたしめでたし。

とにかくもうちょっと説明するか、筋をはっきりするかしたほうがいい。

author:トモヤムクン, category:-, 18:42
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小さな映画館 第97幕

「レベッカ」

「悪い奴ほどよく眠る」

「戦場のピアニスト」

「アバター」

「高地戦」

 

「レベッカ」

ジョーン・フォンティン主演 アルフレッド・ヒッチコック監督作品

 

【あらすじ】

旅先で「わたし」が出会ったイギリスの富豪マキシム。二人は恋に落ち、結婚するが、「わたし」はつねに前妻のレベッカという女性の亡霊と比較され、精神的にまいっていた。しかしそんな時、マキシムから衝撃の告白を受ける。

 

【感想】

さすがはヒッチコック。序盤から中盤にかけてはとにかく「レベッカ」という前妻の亡霊に脅かされる女性を描き、終盤では驚きの真相で畳みかけてきます。

うまいな、と思ったのはヒロインに名前がないことです。一度も呼ばないんですよ。だからこそ「レベッカ」という女性が強調されるんです。視聴者もヒロインの視点ですから、「レベッカ」という女性の謎に翻弄されたことでしょう。

ヒロインもマキシムも、あの従兄弟でさえ最終的にレベッカの秘密に惑わされていたわけです。視聴者だってレベッカは悪女なのか、聖女なのかわからなかったですよね。しかし最期の最後でその呪縛が視聴者と共々解き放たれたわけですが、誰よりもレベッカの亡霊に憑かれていたのがダンヴァース夫人だったことが驚きでした。

 

「悪い奴ほどよく眠る」

三船敏郎主演 黒澤明監督作品

 

【あらすじ】

西幸一は住宅公団の副総裁岩淵の娘佳子と結婚する。この披露宴の最中岩淵たちの汚職をばらすようにウェディングケーキに細工がしてあった。西は殺された父親の復讐のために岩淵たちを破滅させていく。

 

【感想】

家庭における父の顔、仕事における重役の顔、というのは必ずしも同じではないのかもしれません。しかしそれでいて同一人物であるのには変わらないのです。「悪党」というのは人間のある側面のことです。

岩淵たちは確かに私利私欲にかまけた「悪党」です。しかしそれでいて家庭における「親」という「善」の部分を見せていたんです。つまり西にとって岩淵は確かに悪党ですが、「私には父が憎めない」という言葉があるとおり佳子にとってはたった一人の父親なのです。しかしだからこそ西はたった一人の父親を殺されたことが許せないのです。

復讐に身を燃やす西、それはイギリスで評されたようにハムレットのようなものです。ハムレットもまた父の亡霊に取り憑かれ、憎しみに満ちています。

ここでは

ハムレット=西

オフィーリア=佳子

レアティーズ=辰夫

ポローニアス=岩淵

ホレイショー=板倉

と当て嵌まります。

しかしいつの時代も復讐を題材にした作品で、幸福な結末というのは約束されませんね。

本当に悪い奴というのは面に出てこないものです。面に出る悪い奴というのは身の危険に震えながら、それこそ不眠の闘いでしょう。しかし本当に悪い奴は、他人の死など気に問わず、よく眠るのです。

 

「戦場のピアニスト」

エイドリアン・ブロディ主演 ロマン・ポランスキー監督作品

 

【あらすじ】

ポーランド、ワルシャワでピアニストとして活躍していたシュピルマン。しかしナチス・ドイツがポーランドへ侵攻し、生活は一変してしまう。ある日絶滅収容所へ移送されかけるが、知り合いの署長の計らいで難を逃れる。そこから彼は反ナチスの人間たちを頼りに隠れて暮らしていくが、ある時ドイツ人将校ヴィルムと出会う。

 

【感想】

多くの人が、「戦場のメリークリスマス」か「海の上のピアニスト」と間違えてレンタルしたことでしょう(真顔)

 

さて僕はかねがね思っていたことがあります。それは「芸術の死こそ、文明の死。そして人類のあくなき自由の死」だということです。芸術というのは己の内面性を描きつつ、社会の実像を描いていくものです。それすら規制され、弾圧されてしまうのなら、人間の自由性は奪われたも同然なのです。

何度も本ブログでも触れていますがナチスドイツはアーリア人至上主義を掲げ、ユダヤ人を根絶やしにしようとしました。実際のところユダヤの金融資本は大きく、その影響力も計り知れないことは事実です。しかしだからといって、多くのユダヤ人に罪はありません。

ピアニストのシュピルマンはピアノという美しい旋律を描く一方で、戦争という残酷な現実に直面します。ピアニストであっても、彼は逃げ隠れることしかできません。これは世相を皮肉る芸術といえど戦争に対抗できない、という妙な皮肉に感じます。しかしそれでも彼は生きることを選択します。その先にあったのは、やはり自由の象徴である芸術なのです。

ナチスは非道で残虐なのは歴史的事実ではありますが、それでもドイツ人将校ヴィルムのような善を忘れていない人間が描かれていたのがよかったです。もちろんこれは事実に基づいた話なので、よりそのメッセージ性が強調されます。

最初と最後のショパンが同じようで、違い毛色をしていたのは非常に興味深かったです。

 

「アバター」

サム・ワーシントン主演 ジェームズ・キャメロン監督作品

 

【あらすじ】

22世紀人類はパンドラと呼ばれる惑星でアバター計画に着手した。先住民のナヴィと取引をするため、ジェイクはアバターとして近付くが、ナヴィの娘、ネイティリと恋に落ちる。

 

【感想】

テーマは非常に明快です。人種の共存です。

人類の歴史を紐解くと、必ずと言っていいほど人種間諍いが続いています。それは悲しいことに今尚続いているわけです。

ナヴィは自然や民族を大切にする、原住民です。しかし瀕死になった地球からやってきた人間というのは彼らからすればエイリアンであり、侵入者です。

これはアメリカの歴史でもありますよね?そうインディアンの歴史です。ネイティブアメリカンとも呼ばれますが、元々アメリカ大陸に住んでいた民族が、開拓してきた人々によって虐殺されていきます。こうしたアメリカの歴史があるからこそ、描ける映画でもありますね。

この映画は3Dで観てこそなんでしょうが、それでも美しい背景にCGは良かったですねー。

まあ設定はいろいろツッコミどころはあったけど、良作!

I See!!

 

「高地戦」

シン・ハギュン コ・ス主演 チャン・フン監督作品

 

【あらすじ】

朝鮮戦争末期の1953年、南北境界線を巡る停戦協定は難航していた。高地では攻防が続いていたが、韓国諜報部隊のウンピョ中尉は人民軍の内通者を探すために派遣される。しかしウンピョは彼らと交流していくうちに仲を深めていく。

 

【感想】

僕は、こういう映画こそ戦争映画の本質だと思うんです。つまり敵軍が悪、自軍が悪として描くのではなく、戦争という狂気を誰もが望んでおらず、血を流さない上だけが望んでいるということです。

とにかく韓国も北朝鮮、つまり韓国軍と人民軍は生きるために、戦争をしているのです。相手を潰すことが戦争の終結なのです。

ワニ中隊はあらゆる死線を乗り越えてきた部隊です。だからこそ絆は深くなっていきますが、その分誰かが死んでいくことにも慣れていってしまった描写は辛いものがありました。それでも人民軍の置いていった手紙などのやりとりをしていく内に、敵でありながらも心が通じていき、それが期待となっているシーンは好きですね。けどそれが後々、暗いシーンにたたき落とされるわけですが。

スンヒョクは戦争の狂気に巻き込まれた本当に実直な青年です。それはイリョンも同じです。人民軍もです。

最後の12時間の間に歌った両軍の歌はなんとも悲愴な響きがありました。

 

 

 

 

author:トモヤムクン, category:-, 10:51
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小さな映画館 第96幕

「マルコムX」

「グランド・ブダペスト・ホテル」

「アナベル 死霊館の人形」

「イントゥ・ザ・ウッズ」

「セブンソード」

 

「マルコムX」

デンゼル・ワシントン主演 スパイク・リー監督作品

 

【あらすじ】

黒人解放運動の指導者として有名なマルコムX。彼の人生はまさに激動のものだった。ギャングだった時代、組織のひとりだった時代、メッカを訪れてからの心情の変化。マルコムが生まれ暗殺されるまでの自伝的映画。

 

【感想】

三時間二十分くらいあった映画なのですが、とにかく濃密なマルコムXの人生に引き込まれてしまいました。

黒人解放運動の指導者としてキング牧師がいましたが、彼の場合は非暴力・非服従の精神を唱えましたが、初期のマルコムXは暴力を持ってでも黒人の権利を勝ち取ろうとしました。しかしメッカを訪れ、あらゆる人種を寛容に受け入れているイスラム教の真の姿を目撃し、考え方を改めます。

そうなんです、例え黒人であっても、決して一枚岩ではありません。

教団にいたころのマルコムは白人はすべて悪だったのです。しかしそうした思想を創り出したのは宗教なのか、利己主義なのか。元々黒人は奴隷としてアメリカにやってきました。つまり自分たちの意志ではないのです。それでいて所有物の扱いで、人権は保護されませんでした。そうなってしまうと、白人に対する憎悪というのは計り知れないものがあるでしょう。白人もまた、「所有物」としての黒人であったはずなのに、牙を剥いてくるわけですから、対立します。

マルコムXは当初自分の不遇に対して教団の教え(過激なイスラム主義)によって救われましたが、組織の偽善に気づいていくわけです。しかし教団という集団を抜け出すと、そこは孤立の道でした。指導者というのは常に孤独なのです。それでもマルコムは自分の信念に基づいて言葉を発してきました。

彼が示してくれたことは教団の教えをもって言葉を発するのではなく、黒人、白人であれ、自由に主張できることこそ理想的な社会なのです。

今後アメリカだけでなく、世界全体で自称イスラム国に関する過剰な問題が噴出すると思います。そうした時に、敵を見つけ、道を誤らないことを祈るばかりです。

 

 

 

「グランド・ブダペスト・ホテル」

レイフ・ファインズ F・マーリー・エイブラハム主演 ウェス・アンダーソン監督作品

 

【あらすじ】

かつてヨーロッパ最高峰のホテルと呼ばれたグランド・ブダペスト・ホテル。客のお目当てはコンシェルジュ、グスタブ・Hだった。ある日グスタブが愛した一人の老婆が亡くなる。思いがけないことにグスタブはとある名画を相続する。しかし老婆の息子はグスタブを訴える。

 

【感想】

イギリスらしいブラックジョークもあり、どちらかというと、クスッとくる笑いが多い。

本当に物語を読んでいるようなスピード感でストーリーが展開していき、とにかく視聴者を飽きさせない。

グスタブという奇妙なコンシェルジュはとても魅力的。彼はとにかく詩人なのだ。愛する人を愛し、愛するものを愛す。

ロビー・ボーイだったゼロもまたいい。戦争で家族を亡くし、単身ロビー・ボーイとして働くが、とにかく忠実でグスタブを信頼する。だからこそ彼の後継者になりえたのだろう。

古き時代は確かに輝いて見えます。しかし語り継ぐ世代を必ずしも悲観するのではなく、さらに読み継ぐことのできるような時代にしたいものです。

 

「アナベル 死霊館の人形」

ジョン・R・レオネッティ監督作品

 

【あらすじ】

1967年、ジョンとミア・フォーム夫妻は第一子を待ち望んでいた。ジョンは妻のために人形をプレゼントする。しかしある晩カルト宗教の男女が二人の家に侵入し、襲いかかってくる。フォーム夫妻は引っ越し、娘のリアとともに平和な暮らしを送っていたが、捨てたはずのその人形が箱の中に入っていた。

 

【感想】

人形、というのは西洋問わず日本でも恐怖の対象となることがあります。それが問題で大阪の某アミューズメントパークに賛否がありましたね(苦笑)

元々人形というのはその人の魂が宿るとされていて、人形を置いて行かなくてはいけない時、供養されるかたが多いんです。特に人間を象った形をしていますから、無闇に捨てるのはやはり罪悪感があるものです。

今作は実在する「アナベル人形」を基に、「死霊館」のスピンオフとして描かれた映画です。

さて、西洋と日本の共通点として、人形にはなにかしらの霊的なものが宿ることです。しかしやはり違うのは「悪魔」という存在でしょう。キリスト教圏において「悪魔」というのは神という絶対的な善に対するアンチテーゼです。イエス・キリストもまた修行の半ばで悪魔と対峙するシーンがあります。悪魔を人を惑わせ、欲深くさせる象徴です。

アナベルは悪魔の召喚の儀式によって生まれたものです。悪魔は実体はなく、人形をつかってその姿を現します。

こういう作品って最終的には助かるんですけど、やはり犠牲者が出ることもあって、必ずしも救われた物語ではないですよね。しかも封印はできても、悪魔は滅ぼせないわけですから。

 

「イントゥ・ザ・ウッズ」

メリル・ストリープ ジェームズ・コーデン エミリー・ブラント主演 ロブ・マーシャル監督作品

 

【あらすじ】

パン屋の夫婦は魔女の呪いのせいで子どもを授からないでいた。呪いを解くために白い雌牛のミルク、赤いずきん、黄色い髪の毛、金色の靴が必要だと言う。夫婦が出掛けた森の中には赤ずきん、ジャック、シンデレラ、ラプンツェルがいた。

 

【感想】

とにかくブラックユーモア満載のミュージカル映画。だからこそ賛否が分かれるかもしれません。

結果としてこの映画が伝えたかったメッセージは「一人じゃない」「ハッピーエンドの先がある」ということです。

思えばシンデレラも不幸な境遇を憂いていただけで、特別王子様が好きだったわけではありません。はっきりいって、玉の輿になったお話ですからね。だから最後王子様のもとを去ったのはよくわかります。けど、絶対あのパン屋とできるぞ(ボソッ)

そしてジャック。確かに巨人はジャックにとっては脅威だったかもしれませんが、思えば夫を殺された巨人の妻は完全に被害者なわけです。そりゃ怒りますわ。

赤ずきん!パン食いすぎ!!

ラプンツェル。まあ、幸せそう。

そしてオオカミのジョニー・デップ!そりゃオオカミだろうよ!(意味深)

”森”は人を惑わせます。時に憎しみを生んだり、愛を生んだり。そんな時、ひとりではないということこそ、森から出る手段なのです。幸せの蒼い鳥は必ず森の中にいます。

僕はお菓子の家に行きたい!(話が違う)

 

「セブンソード」

ドニー・イェン主演 ツイ・ハーク監督作品

 

【あらすじ】

清王朝成立後の中国で新しく「禁武令」が発令され、武道家たちは次々に虐殺される。そして次なる標的武荘という村であった。そこに立ち上がったのは剣士たちだった。

 

【感想】

壮大で金のかかった、陳腐なストーリー展開とアクション。キャラクターも中途半端に色がついてる感じで、何とも微妙。

ムラと無駄がありすぎてツッコミどころ満載!!必要性の感じない濡れ場、七人のバックボーンの薄さ、とんでも剣の無駄な設定、繋ぎのないぶった切りの構成!!

まあ、面白いところを挙げるとすれば……

うーん……

……

ちょっと原作読んでくる。

author:トモヤムクン, category:-, 07:29
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小さな映画館 第95幕

「チェイサー」

「モンスター」

「トランスポーター」

「プレデター」

「トゥモロー・ワールド」

 

「チェイサー」

キム・ユンソク主演 ナ・ホンジン監督作品

 

【あらすじ】

元刑事のジュンホが経営するデリバリーヘルスのヘルス嬢が謎の失踪をする事件が起きていた。独自に調査を開始したジュンホ。やがて出勤していたミジンの相手の電話番号はこれまでかけていた男と同じであった。

 

【感想】

さすが韓国の映画。とことん視聴者を突き落とすような絶望感を与えてくれる。

前々から言っていますが、韓国の司法というのは本当に権力に弱いのですね。まあ元々軍事政権時代が長かったんですからね。そういうことをこうしたエンターテインメントに昇華し、訴えていける国民性は羨ましいところはあります。

さてこの話は実在の事件がモデルになっています。実在の犯人もまた多くの風俗嬢を殺しています。その動機は結婚していた女性に捨てられ、女性の職種であった風俗嬢を憎んだためでした。身勝手です。しかしこの映画ではそうした犯行に及ぶのは「母性」や「愛」を求めた結果となっています。それはイエス・キリスト、聖母マリアでわかりますね。そして犯人の叫んだ、「何でいつも……」という台詞ですね。

さて犯人は捕まりました。しかし結果的に仕事を辞めたかったミジンは死んでしまい、娘は一人取り残されるというもの。娘としては犯人の逮捕よりも、母親が帰ってきてくれることが一番の幸せだったのでしょうが、これから生きていく上で相当辛い思いをしないといけません。それは他の犠牲者の家族もまた同じです。

韓国という社会の闇はまだまだあるのでしょう。こうした映画が国内で記録的な動員数を誇るのですから、韓国国民にこの映画のメッセージが伝わっているのでしょう。

 

 

「モンスター」

シャーリーズ・セロン主演 パティ・ジェンキンス監督作品

 

【あらすじ】

不遇な環境で育ったアイリーンは夢観る少女だった。しかし彼女は売春婦として生計を立てることに。ある日自殺を考えていたアイリーンは同性愛者のセルビーと出会う。アイリーンはセルビーを愛するようになるが、ある日アイリーンは男にレイプされかけ、その男を殺してしまう。その後アイリーンは自分を買う男を次々と殺していく。

 

【感想】

俗に「サイコパス」と呼ばれる人達の境遇にはいくつか共通点があります。まず両親、または片親はアルコール中毒、麻薬中毒、もしくは暴力的な性格。そしてその被害が子どもたちに及ぶということです。

アイリーンは確かに卑劣な犯罪者であります。しかしだからといって、彼女がされたことは誰が裁くのでしょうか?

アイリーンとセルビーを繋いだのは「孤独」ということでした。アイリーンは愛する者ができ、彼女だけが人生の生き甲斐となりました。しかしセルビーは彼女を愛していても、彼女が進んでいこうとする先は、煩わしい家族からの逃避先でしかありませんでした。

アイリーンは暴行という男の裏切り行為をうけ、ますますセルビー一筋になっていきますが、セルビーの気持ちは様々な場所や人へ傾いていきます。

犯罪というのは確かに人間が起こすものです。しかし多くの犯罪を起こす原因となるのは環境なのです。

この映画の良かったところはアイリーンが極悪な犯罪者として描かれているのではなく、不遇な環境、不条理な仕打ちに対するアンチテーゼとして描かれていたことです。

それにしてもシャーリーズ・セロンは凄いですね。あんなに美しい女性なのに、今回の映画では少し醜い容姿と体格に挑戦していて、体を張っています。

 

「トランスポーター」

ジェイソン・ステイサム主演 ルイ・レテリエ&コーリー・ユン監督作品

 

【あらすじ】

退役軍人のフランクはフランスで運び屋をしていた。彼には三つのルールがあり、その一つ、依頼された荷物は決して開けないというものだったが、ある男の荷物が動き出し、それが女性であったことでルールを破ってしまう。

 

【感想】

薄毛の王子様見参!

さてさて、ツッコミどころ満載な内容ではありますが、そこはリュック・ベンソンですから(笑)カメラワークも早回しを多用した感じで、あまり爽快感はありませんでした。

運び屋であるフランクの最初のカーチェイスあたりから、こいつは凄いのかどうかわかんない状態でしたが、最後までそんな感じでした。セオリー通り最初は苦戦するけど、最後は勝つ!どこか少年漫画のような展開で、良く言えば安心して観られる映画です。

スー・チーはどこか石原さとみっぽく、台湾の女優さんですが、凄く親近感がありました。正義感が強く、運ばれながら、特に互いを知ったわけでもないのにフランクとベッドインする女性。
個人的にはフランクに肩入れする警部が良かったですね。

 

やっぱりフランスで命を助けてくれるのは…

 

オランジーナだよね!

 

「プレデター」

アーノルド・シュワルツェネッガー

 

【あらすじ】

屈強な男達で構成されたコマンド部隊。隊長を務めるダッチは重要任務を果たすために、中南米へ降り立つ。しかし彼らを待っていたのは見えない敵であった。

 

【感想】

頭使ってんじゃねえ!筋肉だーーー!!!!

でお馴染みのシュワちゃん主演の最高傑作。

元ボディビルダー、元サイボーグ、元スパイ、元アメリカの極秘実験で生まれた天才、元州知事。こんな経歴の男に勝てるはずがいませんやろ?

 

とにかくプレデターという謎の生物に視聴者も不気味な恐怖に襲われます。

とにかく見物はダッチとプレデターの対戦でしょ!この終盤の闘いは本当に胸を熱くさせます!!!!

泥まみれのシュワちゃんと奇妙なプレデターの対決はまさに凄い!!!!

そして不気味に去っていくプレデター!!

まさかエイリアンと対決するとは思わんだろー!!!!

以上!

 

「トゥモロー・ワールド」

クライヴ・オーウェン主演 アルフォンソ・キュアロン監督作品

 

【あらすじ】

2027年、世界は希望を失い、世界恐慌に陥っていた。人類は出産の能力を失い、18年間子どもが産まれていなかった。

エネルギー省で働くセオは”フィッシュ”という組織に拉致される。そこにいたのはかつての恋人であった。彼女の依頼である少女の通行証を発行してほしいと頼まれる。その少女は何と子どもを身籠もっていた。

 

【感想】

日本の古事記などでは、裏切られて怒り狂う伊弉冉尊が「一日千人の人間を殺してやる」と言ったのに対し、伊弉諾尊は「ならば千五百の産屋を建てよう」と言います。つまり昔から死者数こそ多い者の、それ以上に産まれる数のほうが多かったわけです。それが自然の摂理だと思われてきました。

しかし現在では少子高齢化なので、当然出生率よりも死亡率のほうが高まります。つまりこの映画自体、バカにできない未来映画なんです。

イギリスという国は何ともアイロニックに物語りを描くことを得意としますね。ある意味でハリウッドではやらない、ヨーロッパ的な湿気のあるSF映画です。

出生率が減っていくと、民族の存亡の危機になります。そうなってくるとより民族意識が高まり、自国を保護しようと、極端な民族主義が台頭するのです。そうなってくると”不法移民”というのは邪魔でしかありません。排斥運動が始まり、非人道的な処置がとられます。

セオはどこか悲観的で後ろ向きな人間でした。しかしかつての恋人の死、新しい奇跡に触れ、希望を見出します。たった一つの命がここまで尊いとは、とセオたちは感じるのです。それは反体制のグループであろうと、移民たちであろうと、新しい命には敵わないのです。

ただ、雰囲気や設定は良かったんですけど、物語に関してはイマイチ。動機付けや行動原理が唐突過ぎて入り込めなかったことが残念。

 

author:トモヤムクン, category:-, 08:22
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小さな映画館 第94幕

「麗しのサブリナ」

「コンプライアンス-服従の心理-」

「刑務所の中」

「用心棒」

「ディセント」

 

「麗しのサブリナ」

オードリー・ヘップバーン ハンフリー・ボガート ウィリアム・ホールデン主演 ビリー・ワイルダー監督作品

 

【あらすじ】

サブリナは実業家で富豪のララビー家の運転手の娘。彼女はララビー家の次男デイヴィッドに恋をするが、身分の違いから遠くで眺めているだけであった。デイヴィッドにも婚約者ができ、サブリナは傷心のままパリで二年間暮らす。見違えるように美しくなって帰って来たサブリナにデイヴィッドは恋をし、両思いになるが、兄で堅物な実業家ライナスも彼女に惹かれていく。

 

【感想】

とにかく幸せになる物語。登場人物に嫌みがないのがいい。というよりもし女性になったとしてハンフリー・ボガートとウィリアム・ホールデンという美男な名優に迫られたら、恋に落ちてまうやろーーーー!!!

オードリー・ヘップバーンも序盤は可愛らしく、そして中盤から本当に美しい!!

さすがはビリー・ワイルダーと言わんばかりのコメディセンス。笑えるし、とにかく不器用な三角関係にほっこりする。ちょっと一昔前の少女漫画のよう。

でもうまいなー、って思えるのはサブリナやデイヴィッド、ライナスの心の動き。コミカルに見せながらも互いに惹かれていく描写が台詞や演出によく表現されてる。自殺しようとしていた車庫での出会いでのサブリナとライナスと、バルコニーでの二人の思い合ってる描写の違いは良かった。それでいてデイヴィッドも女たらしだけど、愛する人の気持ちがわかると、きちんと身を引くことを知っている。登場人物がとにかく優しい世界。

それにしても、本当にパリはいいところなんだなー(笑)

 

「コンプライアンス-服従の心理-」

アン・ダウト ドリーマ・ウォーカー主演 クレイグ・ゾベル監督作品

 

【あらすじ】

ファストフード店のマネージャーであるサンドラーは多忙の中、警察からの電話を受ける。それは店員のレベッカがお客の金を財布から盗んだという内容だった。レベッカは否定するが、警察とのごたごたから逃れようとしたサンドラーは電話の相手に従う。しかし電話の主の要求は次第にエスカレートしていく。

 

【感想】

実際に起きた事件を基にしているので、なかなか恐いものです。

本当にファストフード店の何気ない様子というシンプルな風景から始まります。店員同士が他愛もない冗談を言い合ったり、店長が怒り出したり、ごく普通の日常です。そこに一本の電話がかかってきて激変してしまいます。

この映画を見終わると、こんなに人は欺されんだろー、と思うかもしれません。しかしこの映画の巧妙さは、オープニングで様々な心理的な作用を施しています。例えば「冷蔵庫」の事件です。何気ない事件ですが、「犯人が見つからない」ということで、ここでサンドラーは店員に対する疑念が植え付けられます。そしてレベッカは決して真面目だとは言えない店員です。店長のサンドラーも多忙で責任感があり、とにかく仕事のことで頭がいっぱいになっています。こうなってしまうと、「警察」というのは厄介事でしかありません。店長も最初は懐疑的でした。しかし電話の主、ダニエルはとにかく巧い。脅しつつ、相手を褒め、秘密を共有させつつ、脅す。洗脳の手段です。

例えばナチスを例にすると、党員はヒトラーが健在の頃は自分が加害者だとは思っていませんでした。常に虐げられてきた被害者の立場だったのです。しかし戦後になると「自分たちは欺されていた!」と主張します。

サンドラーは最後にインタビュアーの出身地を聞きます。舞台はケンタッキー州の田舎町です。ファストフード店というのは安くて食べることができますよね?多忙ということはお客も大勢いるわけです。つまり、これはファストフード店がいかに重宝されているか。要はどれだけ食べるのに必死か、という経済的状況がわかります。

 

 

「刑務所の中」

山崎努 香川照之 松重豊主演 崔洋一監督作品

 

【あらすじ】

ハナワは銃砲刀剣類等不法所持及び火薬法取締違反の罪で懲役三年の罪で服役する。刑務所の中では様々な規則や個性的な人々で溢れていた。

 

【感想】

基本的にハナワというのほほんとした主人公を軸に、のんびりとした受刑者の話。でも一つ一つの出来事が受刑者にとっては刺激的で、それでいておかしい。刑務官たちのほうは仕事ということもあって、厳しく、張り詰めた様子ですが、受刑者は対照的に比較的にのんびり。なんだか小学校の先生と生徒みたい(笑)だけど「俺は凄いんだぞ自慢」はなかなか洒落にならないことのオンパレード。

原作者が実際に体験したことがメインのお話なので、やはりリアルなのでしょう。僕は生まれてこのかた刑務所に入ったことがないもので、その生活の実態はわかりませんが、何と言うか1日1日が淡々と、それでいて健康的な生活です。栄養の考えられた食事、一定の運動、規律の順守、適度な睡眠。はっきり言いますと、娑婆の生活よりも人間に最適な暮らしなのかもしれません。

今娑婆は物で溢れてるじゃないですか?だから却ってこういう物のない生活を送ってみると、たった一杯の白飯だけでも本当に美味しく感じるんです。アルフォート美味しそうだった…。

山崎努のちょっと力の抜けた演技がいいですね。さすがは名優。

 

「用心棒」

三船敏郎 仲代達也主演 黒澤明監督作品

 

【あらすじ】

ヤクザの二大勢力が争い、荒廃しきった宿場町。そこに現れたのは流浪の侍だった。男は両方の親分に自分を「用心棒」とするよう焚きつける。

 

【感想】

さて、非公式ではありますが「荒野の用心棒」というリメイク作品があります。その映画もなかなかの出来映えで面白いのですが、やはりオリジナルでしょう。

桶屋も言っていましたが、町や賭場を仕切る親方が一人ならまだしも、二人ともなれば争いが起きるのは必然です。両者の利己心の諍いにより、町民たちは困ってしまいます。そんな町には誰も来ませんから、流行るのは桶屋と寺くらいなものです。

三十郎は町の人間ではなく、流浪の侍。それでいて名前は適当なもの。しかしそこには「桑畑」とあります。桑というのは日本人にとってもなじみ深いものでもあります。桑には霊が宿ると伝えられていたり、生薬や果実、それに蚕など生活や利益のために重要なものです。そのことから利己心に溺れる人々を諭す、役割を担った役なのでしょう。

三十郎は親方同士をけしかけ、最初にも言っていたように、両者がつぶし合うよう促しました。それは決して己の利益のためだけではなかったでしょう。

もしもヤクザだけの町になってしまったら、と考えてください。町民は貧困に喘ぎ、ヤクザもの同士はただただ利己心のために血を流すだけです。他者を思いやる余裕もなく、その町はいずれ町民を巻き込んで滅んでいきます。これは黒澤明映画で見られる「貧困」がテーマでもあるでしょう。

いつかこの日本にも三十郎のような救世主が現れることを期待します。

 

「ディセント」

シャウナ・マクドナルド主演 ニール・マーシャル監督作品

 

【あらすじ】

年に一度の冒険旅行に出掛けた六人の女性たち。交通事故で夫と娘を失ったサラも参加することに。彼女たちは洞窟の中に入るが、狭い穴にサラがはまってしまう。その後洞窟の至る所で崩落が起きる。暗闇の洞窟に閉じ込められた女性たちの背後に、謎の生物が忍び寄る。

 

【感想】

 

夢オチというか、寝オチ

 

個人的に洞窟って大嫌いなんです。あの息苦しくて、自由を拘束されたような空間と隔絶された時間の感じが大嫌いです。だからこの映画はある意味で僕にとっては恐怖そのものでした。

なにより未開の洞窟、人間の狂気、謎の生物などなど。とにかくこれでもかというようなホラー要素を入れ込んでいます。

序盤「女性同士の確執」中盤「謎の生物」終盤「サバイバル、そして女の闘い(完)」

サラが無事に脱出したー、と思わせて、絶望の淵にいたというオチは悪くはなかったですけど、ちょっと家族を亡くした設定にしておいただけに、ちょっと弱かった。

ただサラが危険に晒され、尚かつ旦那と浮気していたジュノに対する復讐心が芽生えてからは、姐さんかっけえっす!ってなった。

author:トモヤムクン, category:-, 07:24
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